たちまちすっかり和らいで
※ゆる世界観の現パロ---『――クロードくん、ちゃん! おまたせー、ヒルダちゃんが迎えに来たよー』 インターホン越しに明るい声が聞こえてきたのは、元日の昼過ぎのことだった。モニターを覗くとそこには見知った顔があって、相変わらずの可愛らしさに…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
心根の記憶
※転生パロ--- 目が覚めたとき、眼前に広がっていたのは見たこともない部屋だった。 床も天井もまっしろなこの部屋に、クロードとの二人はぼんやりと立っている。他にあるのは中央部に鎮座するちゃちな造りの机と、見るからに怪しげな十本の小瓶――そし…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
広がる空と紅の色
※現パロ--- なあ、オレンジデーって知ってるか――その一言で始まった習慣は、今年で果たして何回目になるだろう。 正直なところ、オレンジデーというイベントについてはあまり馴染みがなかった。名前くらいは聞いたことがあるな、というくらいで、よも…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
いつかでもしもの4月1日
※現パロ 「――子供ができたの」 随分と久しい二人きりの昼食に舌鼓を打っていた頃、不意に告げられたのはのとんでもない言葉だ。抑揚のない声で発せられたそれは、談笑もそこそこに和やかな雰囲気を保っていたリビングを一瞬で静かにした。 うつむきがち…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
日曜のさんじ
※現パロ べちょ。ずるん、ぬるり。 無様な音を立ててテーブルの上に落ちたそれを、は渋い顔をして見下ろした。ついさっき綺麗に磨いたばかりなのに、よもや早速汚してしまうだなんて一体どうしたことなのか。 透明ながらもずるずると滑り、紙一重で箸を…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
手繰りし緒の先にあり
※転生パロ 夢に見るほど恋い焦がれた、たった一人の女がいる。 それはどことなく朧気で、けれどもひどく鮮烈ないつかの記憶がもたらしたものだった。和気あいあいとした学び舎、二人だけの逢瀬、血なまぐさい戦場、やっと掴めた細い手。そのどれもがこの…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
きみがため
※ちょっとやらしい、現パロ 「おお……」 シャツのボタンに手をかけたクロードが数拍の後に感嘆の声をもらす。その目はどこか少年のようにきらきらとしていて、今まさに臨んでいる行為とのギャップに少し笑いそうになった。 彼の目に映っているのは先日買…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
臆病者の恋路
「あんたは、どことなくクロードと同じ匂いがします」 突き刺さるような視線とともに言葉を発したリシテアは、ただの一度も目を逸らすことなく、じいとを捉えている。 事の発端は積み上がった本の山を前にうなだれるリシテアを見たことだった。彼女はひどく…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(リシテア)
骨の髄まで君が好き
アッシュがガスパール領の家督相続を認められて、早一年が経とうとしていた。 相変わらず日々は目まぐるしいものであるが、それでも二人で支えあって、懸命に毎日を生きている。戦禍によって傷だらけになった領内も少しずつ回復の兆しを見せ始めていて、だ…
ファイアーエムブレム 短編(アッシュ) 細氷に光る懐刀
きっと、いつまでも
「そうか、お前の背中はこんなにも広かったんだな」 感慨深そうな声に振り向いてみると、そこには左の眼を細めて微笑うディミトリの姿があった。 いつの間にそんなところにいたのか。アッシュは半ば飛び跳ねるように彼のもとへと駆け寄り、見上げるほどの身…
ファイアーエムブレム 短編(アッシュ) 細氷に光る懐刀
大好きな、僕の
「、これ。僕からの気持ちだよ」 ガスパール城の渡り廊下にて、はい、との目の前に差し出されたのは鬱金香の花束だ。ひどく上等な造りをした包装紙は淡い水色に染まっていて、色とりどりの花を彩るに相応しい色と質感である。 ふた桁にはのぼるであろう本数…
ファイアーエムブレム 短編(アッシュ) 細氷に光る懐刀
飛竜の節17の日
※数年後 アッシュが城主となってからのガスパール城は、以前よりも花の香りが強くなっているらしい。 もともとロナート卿が花を好んでいたこともあり、城内のあちこちに草花を飾ったり可愛らしい花壇を構えていたりと、この城は非常に豊かな景観で名の知れ…
ファイアーエムブレム 短編(アッシュ) 細氷に光る懐刀