ファイアーエムブレム

心根の記憶

※転生パロ--- 目が覚めたとき、眼前に広がっていたのは見たこともない部屋だった。 床も天井もまっしろなこの部屋に、クロードとの二人はぼんやりと立っている。他にあるのは中央部に鎮座するちゃちな造りの机と、見るからに怪しげな十本の小瓶――そし…

きみがため

※ちょっとやらしい、現パロ 「おお……」 シャツのボタンに手をかけたクロードが数拍の後に感嘆の声をもらす。その目はどこか少年のようにきらきらとしていて、今まさに臨んでいる行為とのギャップに少し笑いそうになった。 彼の目に映っているのは先日買…

臆病者の恋路

「あんたは、どことなくクロードと同じ匂いがします」 突き刺さるような視線とともに言葉を発したリシテアは、ただの一度も目を逸らすことなく、じいとを捉えている。 事の発端は積み上がった本の山を前にうなだれるリシテアを見たことだった。彼女はひどく…

大好きな、僕の

「、これ。僕からの気持ちだよ」 ガスパール城の渡り廊下にて、はい、との目の前に差し出されたのは鬱金香の花束だ。ひどく上等な造りをした包装紙は淡い水色に染まっていて、色とりどりの花を彩るに相応しい色と質感である。 ふた桁にはのぼるであろう本数…

飛竜の節17の日

※数年後 アッシュが城主となってからのガスパール城は、以前よりも花の香りが強くなっているらしい。 もともとロナート卿が花を好んでいたこともあり、城内のあちこちに草花を飾ったり可愛らしい花壇を構えていたりと、この城は非常に豊かな景観で名の知れ…