あとがき
普段あとがきなんてそうそう書かないんですが、このお話はちょっと言いたいことがあったので例外的に置いています。先日blogのほうでもちょろっと申し上げたんですが(移転前の話なので今のMEMOにはないです)、夢主がオリ地方に行くことはずっと前か…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
雌のさえずり
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ポケモン 柵にとらわれて 短編(ユウキ)
絆をむすんだ
結局、昨夜はうまく寝つけなかった。柔らかなベッドのうえで何度も寝返りを打って、目を閉じた先にある、混沌とした世界に身を委ねたりもしたけれど、当然その混沌があたしを助けてくれることはない。むしろあたしの意識をどんどん黒く渦巻かせて、目の下に…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
種なきところに芽など出ず
※オリ地方要素あり --- 頬をくすぐる風は花の香りをまとっていて、自然と笑みがこぼれてしまう。香しくて爽やかなこの町の風が、あたしはとても好きだった。 ここは、カバタ地方モレットシティ。地方最大の病院があるこの町は、シャスラの花畑と呼ば…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
くらやみに堕ちるような
「今日、一回家に帰るよ。そろそろ顔見せときたいから」 オレがそう言ったとき、は一瞬淋しそうにしながらも、すぐに笑って頷いてくれた。 その笑顔に胸のざわつきを覚えたのは確かだけれど、あまり過干渉になっていてもいけないと思い直して、素直にへ別れ…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
愛しい人よ
沼底に沈んでいた意識が、ゆっくりと持ち上がるような感覚。泥のようにねむるとは言い得て妙といったところで、あたしはもうすっかり熟睡できるようになっていた。 内容こそ覚えていないけれど、ひみつきちで夜を明かすたび、あたしは夢に囚われ続けていた…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
柵にとらわれて
――嫌な予感がする。あたしは、やけにざわざわと騒ぐ胸をおさえて、つい、その場にうずくまった。 作業の途中、ベッドの傍らで唐突に動きをとめてしまったあたしのそばに、無二の相棒であるジュカインが駆け寄ってくる。ジュカインは普段きりっとしている…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
糸よりも細く
「――とはいえ、だ。勇んで出てきたはいいけど、めぼしい場所があるわけでもないんだよな……」 むげんのふえで呼び出したラティオスの背中に乗りながら、雄大なホウエン地方をぐっと見下ろした。 引っ越してきてまだ数ヶ月しか経っていないくせに、目に映…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
つまさきの怪物
あの日以来実家に顔を出す機会を増やしたのは、そらをとぶ手段を手に入れたことはもちろん、件の出来事で家族に心配をかけたという自覚があるからだ。 母さんはあっけらかんと言っていたが、オレたちが寝静まったあとに一人でさめざめと泣いていたのを知っ…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
不撓不屈にあこがれて
とにもかくにもミシロタウンから離れたかったあたしが選んだのは、ホウエン地方の北東部にあるトクサネシティの周辺だった。ルネシティが近くにあるのは少し気にかかったけれど、ミシロタウンへのそれとは比べ物にならないので気にしないことにした。 トク…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
傍らの思い
「そうか、ユウキはさすがだな。母さんに心配をかけたことだけはいただけないが――」「もう、パパったら! でも、無事に帰ってきてくれて本当によかったわ。テレビであなたの姿を見たときは、本当に気が気じゃなかったけどね? あなたの元気な顔を見たら、…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 空の果て、虚のなか
亀裂なんて入らない
鏡を見るのが嫌いだった。 年をとるごとに母親に似てくるこの顔は、おのれの想い人が――唯一無二の父親であるセンリが他の女と結ばれて、生涯を共にしようと決意し、子を成したというこのうえない証左である。 おのれの存在がひどく疎ましかった。父親を…
ポケモン 文章 柵にとらわれて 短編(センリ)