終わりの朝日
フォドラは夜明けを迎えた。ネメシスを打ち倒し、壁を壊すための準備が整ったのだ。このままうまくいけば、クロードを長年苦しめた偏見という名の脅威を、そう遠くない未来になくすことができるだろう。 おのれに流れるフォドラの血はもうさんざ利用した。…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
頬をなぞる綺羅
計算の通り事が運べば、おそらく決戦の日は明日。 明日になればネメシス率いる大軍勢がこのガルグ=マクへたどり着き、復讐の炎を撒き散らして灰燼の野を作らんとするのだろう。雑草のひとつも生えない不毛の大地が築かれることだけはなんとしても避けなけ…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
桃色吐息は友の色
ローレンツの言葉を疑うつもりはないが、しかしクロードの手の内に真実を確かめる術は多くなかった。 なぜなら彼がクロード=フォン=リーガン本人であるという時点で、「がクロード以外の人間と話しているところ」を見るのが難しいからだ。は人の気配に敏…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
薔薇は大地に根づくもの
「おい、クロード。君、ちゃんとさんのことを見てやっているのか?」 渡り廊下でのすれ違いざま、潜めて声をかけてきたのはローレンツだった。 その口振りから察するに――否、彼の人柄を思うに今回は決してやっかみのたぐいではなく、心からを、そしてクロ…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
まるで、星が降るような
「こんにちは、盟主様。ご機嫌いかがかしら?」 小気味よく扉を叩く音は二回。返事をする前にかけられた声色はいやに落ちついていて、クロードは少々目を丸くしながら応対のために立ち上がった。 けたたましく取っ手を鳴らしながら扉を開く。そこにいたのは…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
月を想うて耽る夜
当初の予定に、を連れてくるような運びは一切なかった。 リーガン家にはベレトのみを連れてきて、彼の顔や立場を使い貴族たちを黙らせ――もとい、交渉を有利に運ばせてもらって、あとは諸用を済ませて終わり……という算段であったのだ。いささか時間はか…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
それは海にあらず
「その……渡していいか、迷ったんだが。あいつの持ってた弓だ」 クロードが差し出したのは、拭いきれない使用感と血の跡が残るキラーボウだった。 一挺のそれは先立っての戦いで得た戦利品であり、誰の遺品かと言われたらアッシュ=デュランに他ならない。…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
駆け引きなんて脱ぎ捨てて
「ちゃん! よかったー、あたしたちすっごく心配してたんだよお」 と連れ立って大広間に戻ったとき、出迎えてくれたのは金鹿の学級の面々だった。ラファエル、イグナーツ、マリアンヌ、リシテア、レオニー……誰も彼もが顔を明るくしてのことを見ているよう…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
君が歩んでくれるなら
――ねえ、クロード。私ね、あなたにひとつだけお願いがあるのだけれど…… 夢のなかに現れる彼女は、いつも決まって何かを言いかけて、そして口をつぐんでから消える。その姿はまるで何も言えないままの、一番伝えておくべきだった言葉を隠したまま離れて…
こがねと縁(戦争編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
春先の夜長
「――なあ、。ちょっと聞いてくれるか」 それは、孤月の節も末のことだった。 月明かりに照らされたクロードの頬の輪郭を、はぼうっと眺めている。室内上部の窓枠から差し込むそれは非常に優しい光で、程よい気だるさに包まれたこの部屋をゆっくり癒やして…
こがねと縁(士官学校編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
白昼夢に踊る
この作品を見るにはパスワードの入力が必要です。
こがねと縁(士官学校編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側
始まらぬ夜明け
彼と――クロードと共に迎える朝は、果たして何度目になるだろうか。 窓から差し込む朝陽に照らされた部屋のなか、意外と薄い胸板を撫でてみると、むにゃむにゃと何か不満を垂れながら、ぐずるように寝返りを打つのが少し面白い。こういうとき、やめろだの…
こがねと縁(士官学校編) ファイアーエムブレム 三日月の裏側