Log/SS(ポケモン)

おしえておしえて(チリ)GL

「やっぱりチリはすごいわ。グレイシアもキョジオーンも、わたしと戦っているときよりとっても動きやすそうにしてたもの」「ハッハ、まあいうても四天王のチリちゃんやからな~。こおりやいわは専門とちゃうけど、そこいらのトレーナーに負けるつもりはあらへ…

こんなときが続けばいいのに(ナタネ)

 彼女の横顔は、いつもきらきらと輝いている。 ジムリーダーとしてバトルに励むときも、草花を愛で、育てるときも。……もちろん、ポケモンの様子をうかがうときだって。 いつもナタネさんはとてもきれいで、可愛くて、僕の視界をちかちかと弾けさせるのだ…

無題(グラジオ)

「グラジオさま、お出かけですか?」 モンスターボールに収められたポケモンたちのコンディションを確認するグラジオさま。いつもどおり仏頂面のように見えるが、その横顔にはほんのりとした高揚感が見てとれる。 わたしは知っていた。このお顔をしていると…

無題

「ギンガ団について……? うーん、あんまり詳しくないんだよねえ」 ハクタイ近辺にはギンガ団員が多い。理由など言わずもがな、町の北西に鎮座するギンガハクタイビルが団員を食らっては吐き出しているからだ。 この町に住まう人間として、僕は何度もギン…

ポケットじゃないモンスター(セキ)

 よもや、こんなにもしみったれた想いを抱くようになるとは。 色男が聞いて呆れる――なんていうのは、彼女を愛するようになってからきっと何度も思ったことだ。 世間から見れば取るに足らないような娘で、老輩たちからすれば不釣り合いだとか、似合わない…

よい夢を(セキ)

 ふす、ふす。呼吸にともなって上下する頬が、プリンのようにふかふかしているように思えて仕方ない。 体はひどく細っこいのに、頬だけはこんなにもふっくらしているのだから不思議なものだ。これが子供というものなのかと、隣で寝入るヨヒラを見ながら、セ…

知っているんだ(グリーン)

 あの人はひどく気取っていて、格好つけで、プライドが高くて――ほんの少しだけ、とっつきにくいところがある。わたしもトレーナーとして出会ったばかりの頃、ミリほどの苦手意識があったくらいだ。 グレンじまでナーバスになっているあの人を初めて見たと…

なつかしいね(マリィ)

「……あ。マリィ、あれ、覚えてるかい?」 ラベンダーが指差す先にあったのは、スパイクタウン郊外にある小さな公園。少しばかり寂れているし、遊具の痛み具合からは治安の悪さが見て取れるが、それでも二人にとっては思い出深い場所だった。「ここ……そう…

不可視の縁(リーリエ)

 目を閉じると、ぼくに笑いかけてくださるお嬢さまのすがたが浮かぶ。寝ても覚めてもぼくの心を占めるのはリーリエさまたった一人で、それはきっとこれからも、決して揺らぐことなどない。彼女がいるから今のぼくがいて、そうやって少しずつ積み重ねてきた歴…

もしもし、ヒトモシ(セキ)

「なあ――ヨヒラ、いいだろ?」 ぼんやりとした灯りのなか、セキさんが静かに身を寄せてくる。まだ何もしていないはずなのに、耳をくすぐる艶っぽい声と吐息のせいで、あたしの頭はすぐにくらくらしはじめた。「で……でも、明日は朝からご用事があるんじゃ…

心の狭さがバチュル並み(グラジオ)

最近、グラジオさまは一人でお出かけすることが増えた。少し前にできたお友だちと――グラジオさまはお認めにならないが――バトルツリーに挑戦するらしい。照れくさそうにしてはいるものの、ひどく楽しそうなグラジオさま。今までずっと閉じた世界で生きてき…

よくあるやつ(セキ)

「だーれだっ!」 ぽむ。突如視界を奪ったそれは、想像していたよりもふかふかしていて、柔らかな触り心地だった。 ふわ、ふわ、撫でるように目元をくすぐられ、ついつい笑ってしまいそうになる。「誰だろうなあ。オレにはちっともわかんねえぜ」 肩をすく…