無題(グラジオ)

「グラジオさま、お出かけですか?」
 モンスターボールに収められたポケモンたちのコンディションを確認するグラジオさま。いつもどおり仏頂面のように見えるが、その横顔にはほんのりとした高揚感が見てとれる。
 わたしは知っていた。このお顔をしているときのグラジオさまは、いつも決まってお友だちの元へお出かけになると。
「ああ……少しな。ヨウとハウに呼ばれている」
「あら、まあ。バトルロイヤルですか?」
「どうだかな……アイツらはひどくきまぐれだから、すぐに言うことが変わるんだ。今日もどこに連れて行かれるかわかったもんじゃない」
 文句のように言いながらも、グラジオさまはひどくおだやかに微笑んでいる。

 
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