あの人はひどく気取っていて、格好つけで、プライドが高くて――ほんの少しだけ、とっつきにくいところがある。わたしもトレーナーとして出会ったばかりの頃、ミリほどの苦手意識があったくらいだ。
グレンじまでナーバスになっているあの人を初めて見たときも、不思議な感覚にとらわれた。ほんのり空気が張りつめているような、反面、ひどく淋しげなような――
けれど、今のわたしは知っている。本当のあの人が、とても面倒見が良くて、優しくて……じつはものすごく努力家だ、ということ。
そして何より、わたしのことを目いっぱい大切にしてくれていることだって、この世の誰より理解している。
だから、もしわたしがおばちゃんになって、今とは全然違う容姿になったとしたら。全然可愛くもなんともないふうになったとしたらどうしますか、と聞いてもきっと、あの人は一瞬訝しんだあと、すっかり受け入れてくれると思うのだ。
べつに、何も変わらねえよ、と。
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『私がオバサン(オジサン)になったら』です
https://shindanmaker.com/613463