これぞあなたによく似合う(クロード)

「金合歓?」
 ウィノナの細腕に抱えられる、目いっぱいの花束。パルミラではめったに見ないふわふわの花は眩しいくらいの黄色をしていて、明るい色の葉っぱも手伝い、目の前の男を想起するに充分すぎるものだった。
 ほんのりとした優しい香りも相まって、ウィノナにとってはひどく安らぐ様相である。
「ああ。旅の商人から買いつけたんだ、このあたりじゃ見ない花だったもんでな」
「へえ……ふふ、素敵ね。あなたみたいな色をしてる」
「おいおい、どれだけ俺のことを考えてるんだ? 俺はおまえに似合うと思って目に留めたんだぜ」
「あら、私が四六時中あなたのことばかりなのはもう既にご存知なのではなくて?」
「……まあ、そうだが」
「そうでしょう。なら、つべこべ言わず素直に私に想われておくことね」
 釈然としなさそうな顔のクロードであるが、その頬には確かに幸せの色が見て取れたのだった。

 
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『君に花束を』です
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