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きみがため

※ちょっとやらしい、現パロ 「おお……」 シャツのボタンに手をかけたクロードが数拍の後に感嘆の声をもらす。その目はどこか少年のようにきらきらとしていて、今まさに臨んでいる行為とのギャップに少し笑いそうになった。 彼の目に映っているのは先日買…

臆病者の恋路

「あんたは、どことなくクロードと同じ匂いがします」 突き刺さるような視線とともに言葉を発したリシテアは、ただの一度も目を逸らすことなく、じいとを捉えている。 事の発端は積み上がった本の山を前にうなだれるリシテアを見たことだった。彼女はひどく…

大好きな、僕の

「、これ。僕からの気持ちだよ」 ガスパール城の渡り廊下にて、はい、との目の前に差し出されたのは鬱金香の花束だ。ひどく上等な造りをした包装紙は淡い水色に染まっていて、色とりどりの花を彩るに相応しい色と質感である。 ふた桁にはのぼるであろう本数…

飛竜の節17の日

※数年後 アッシュが城主となってからのガスパール城は、以前よりも花の香りが強くなっているらしい。 もともとロナート卿が花を好んでいたこともあり、城内のあちこちに草花を飾ったり可愛らしい花壇を構えていたりと、この城は非常に豊かな景観で名の知れ…

母を思う手

 ディミトリの朝は、ぼんやりとした頭痛から始まる。 これでも一時期よりはずいぶんマシになったほうだ。かつては悪夢にうなされて一睡もできないことすらあったけれど、近頃は少しずつ睡眠時間も増え、いくらかは安らかな朝を迎えることができている。 頭…

無二の宝物

「そういえば……最近、とはうまくやっているのか」 いつものごとく、ベレトはおもむろに口を開いた。数節に一度行われる、フォドラを統べる救国王とセイロス教の大司教の会合が一段落し、一旦の休憩に入ったときのことだ。 戦争の終幕とほぼ同時期にディミ…

星辰の節20の日

 真っ青な外套を翻しながら歩く背中は、初めて彼をまぶたに焼きつけたあの日に比べ、数倍広くなっている。 たくましく育った体にまとう鎧、澄んだ空のような瞳、月の光を反射して煌めく金糸。そのどれもが彼がファーガスの王たる現実を象徴しているかのよう…