ゴッドイーター

バカな女だ

「俺、やっぱあいつのこと苦手だわ」 世評通りの絶妙な乾燥感と耐え難い味わいを持つ、ここ数年で最高に激マズだと名高い配給品をエントランスにてつまみながら、正面に座るカレルへと話を投げかける。口振りからなんとなく察するに、今シュンが話している相…

また、なんだ。

 ――大車ダイゴによるアラガミテロが収束して、数ヶ月が経とうとしていた。 サカキ博士主導のもと行われるようになった慈善活動も、もちろん第一部隊のみならず、他部隊も積極的に参加している。 防衛班第二、第三部隊も例外ではなく、特にはこの活動に精…

花言葉なんて

 今日は私にとって、少しだけ特別な日だった。――いや、私だけじゃないかもしれない。タツにとっても、ブレンダンにとっても、カノンちゃんにとっても、他の隊員にとっても、特別な日。 何故なら今日が、最後だから。私たち第二部隊が、「第二部隊」として…

伝えられたら?

 ぴろん、と無機質な通知音が鳴り響く。差出人に表示されている名前は、恋い焦がれる幼なじみのものだった。『うっす!』から始まる文章はまさしく彼を思わせるもので、今まさに彼と目の前で話しているかのような錯覚に陥ってしまう。恋しい。彼のことが、何…

05.指先に触れたもの

「よっす!」 背中をぼふんと叩けば、こちらの存在に気づいてはいなかったらしい彼の、命を背負う強い肩が怒る。思わず後退りするほどの機敏な動きに、ついこちらのほうが怖じてしまったのだが、当人は至っていつもの調子なようだ。「……やっぱ気合いが入る…

04.いつも背中を見ていた

 まだ、外部居住区に住んでいた頃の話だ。 生まれ育った故郷を離れ、目の前で両親を喰われ、そして姉を失い。遺された弟2人は私が育てねばならないのだと、半ば脅迫めいた使命感に苛まれていた。 まだ10やそこらの子供だった私は、もちろん間違いだって…

01.その瞳の先は僕じゃない

 ヒバリちゃん! と名を呼ぶ、弾んだ声にはもう慣れた。 いつしか彼の笑顔は自分ではない誰かのものになっていて、そうやって笑う姿をただ見ているだけの哀れな自分。彼の恋愛相談……もとい、「ヒバリちゃん」が如何に魅力的であるかを熱烈に語られる、そ…

お前のことが(GE/ハルオミ)

「貴方、今日誕生日だそうじゃない」 ごつん、と体格に不相応な足音を響かせやってきた人影。凛とした声に少々背筋の伸びる心地を感じながら振り向くと、そこにいたのはだった。 いつも姿勢正しく品行も方正で、自他ともに厳しくあるがゆえに彼女はあまり小…

たすまにあ?(GE/ユノ)

「ちゃん、本当に変わったよねぇ」 しみじみと、カップの紅茶を飲み干したサツキが感慨深そうに呟いた。ユノと積もる話に花を咲かせていたが、ほんのりと頬を赤らめる。もごもごと口を動かしては言葉を飲み込むの姿に、サツキはよく回る口を更に働かせた。「…