なまえ①→ペガサスナイト(親世代)
なまえ②→マージ(子世代)
迫る灯火 / 完結済
アゼルとシレジアのペガサスナイト
- もえる草芽の色をした、
シグルド軍がシレジアに落ち延びてから、気づけば半年の月日が経とうとしていた。 寒冷な気候はシレジア以南で生まれ育った諸君に厳しく当たることもあったが、その無慈悲な冷たさもラーナ王妃の温かさによっていっさいが融解する。 苦難ばかりでままなら…
- 交差
「……どうしたのよ、またそんなにぼうっとして」 セイレーン城の中庭にて、木陰の下で空を眺めていたときだった。天馬の羽音が聞こえた数分後、ひょこんとが顔を覗かせたのである。 シレジアの冷気に霞んだ空がいっぱいに広がった視界のなか、突然に飛び込…
- 花綻ぶ微熱
草芽の色をしたは、さながら春の象徴であるかのような女性だった。 彼女がそこにいるだけで、周りに笑顔の花が咲く。マーニャ隊の仲間だけでなく、時には城下の市民までもが彼女にとっては友だちだった。 彼女がそこにいるだけで、皆の表情やまとう空気が…
- きみを守るよ
マーニャが戦死した。 シレジアが天馬騎士団マーニャ隊は、同じく天馬騎士団に所属していたディートバ隊や、ユングヴィ公子アンドレイ率いるバイゲリッターに立ち向かい――そして、あえなく散ってしまった。 さしもの天馬騎士たちも天敵である弓兵相手に…
- そうしてぼくらは蓋をした
もちろん、そのときのアゼルにシグルドたちの話を盗み聞きするつもりなんてなかった。たまたま部屋の前を通りかかった際、つい、耳に入ってしまったのである。 彼らが言っていたのは、アルヴィスが当主になってすぐのヴェルトマー家についてだった。父が―…
- あとがき
たまにあるあとがきのコーナーです。今回はちょっと書いておきたいことがあったので設置しています。あやふやなまま終わったアゼルくんと夢主の血縁関係については、原作で言うところのクロード神父とシルヴィアみたいなイメージでいます。異母兄弟かもしれな…
番外編
- 時に微笑ましくもあり
「交差」のあとくらい--- なんとなく、胸騒ぎがした。 否、それはともすると変化の予兆であったのかもしれない。うまく言語化することはできないが、それでも今からおのれの身に何かしらの刺激が訪れるであろうことを、レックスは静かに察知していた。そ…
短編 / 親世代
アゼル
- ふわり、光る
「ねえ、アゼルは“恋”って何だと思う?」 行軍の合間、出し抜けにが問うてくる。さっきまで上空にいた天馬は知らぬ間にすぐ傍へと降下していて、アゼルは馬の手綱を引きながら、彼女の言葉に耳を傾けた。「恋、って……どうしたんだい、いきなりそんなこと…