ねえ?(ナタネ)
くんは、人付き合いというものが少し苦手なのだと言う。 あたし自身も、それにはまあまあ納得する。あたしが彼と深く付き合うようになったのはつい最近のことだけど、それでもなんとなく――否、恋人として彼のことを目で追うようになったからこそ、察せら…
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メシマズ少年Sの未来や如何に(ナタネ)
「……くん、そういえば料理とかしたことないんだっけ」 テーブルの上に鎮座する奇っ怪な皿を見ながら、ナタネは口元を押さえていた。そこにはまるでドガースでも乗っけたかのような、どくガスじみた煙が異様な雰囲気で立ち昇っている。「う……す、すみませ…
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じゅうでん完了(ナタネ)
時おり、くんはあたしのことを思いっきり抱きしめてくる。タイミングとしては、やはり家を出る前の朝のことが多い。 そのときばかりはいつものふにゃふにゃ笑顔も鳴りを潜め、ひどく真剣な顔であたしの前に立ちふさがるのだ。普段とのギャップに加えて身長…
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クラッカー(ナタネ)
「――よしっ。くん、お誕生日おめでとう!」 ぱん! とひかえめなクラッカーが鳴ったのは、日付変更線をまたいだ直後のことだった。 正直、期待していたところはある。ナタネさんなら今年もお祝いしてくれるだろうと、人知れずずっとそわそわしていた。と…
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てんしのキッス(ナタネ)
ナタネさんに恋をしていたとき、僕の人生は彼女を中心にまわっていた。 否、ナタネさんが人生の中心なのは今も変わっていないし、恋は毎日だってしている。ただ、今の僕はあの頃よりも少しだけ落ちついて、ほんの少し大人になっているというだけだ。 とに…
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かなわないなあ(マサル)
わたしは、今の今までたったの一度もマサルに勝てたことがない。ポケモンバトルはもちろん、日常生活とか、そういう面でも。 だから、落ちこぼれだったかつてのわたしは、ジムチャレンジの道中でマサルと出くわしてしまうのが毎回怖くて仕方なかった。同じ…
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そんなことないもん(セキ)
マグマラシとの散歩中、夫婦の痴話喧嘩を耳にしてしまった。 彼らはコンゴウ団のなかでも比較的優しくて、すれ違うと毎回挨拶してくれる人たちだ。愛想も良くて夫婦仲も良さそうだったから、そんな二人でもこんなふうに喧嘩するんだと少しびっくりした。 …
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あたしの還る場所(セキ)
「ねえ、セキさんって生まれ変わりとかそういうの、信じる?」 ――人間は死んだらどうなるのだろう。バクフーンは迷える魂をあるべき場所へ還すというが、還ったあとにはどうなるのか? そんな何気ない疑問をテルに打ち明けると、彼は事もなげに「また新し…
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おとなしい性格?(セキ)
ヨネを除く周りの人間たちは、皆のことを元気でやかましい性格なのだと思っている。 もちろん、セキだって元はそうだった。笑顔の裏に暗がりを隠してはいれど、彼の見ているはいつも健やかに笑っていて、ヒノアラシたちと元気に野山を駆け回っていた。ちょ…
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