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おしえておしえて(チリ)GL

「やっぱりチリはすごいわ。グレイシアもキョジオーンも、わたしと戦っているときよりとっても動きやすそうにしてたもの」「ハッハ、まあいうても四天王のチリちゃんやからな~。こおりやいわは専門とちゃうけど、そこいらのトレーナーに負けるつもりはあらへ…

こんなときが続けばいいのに(ナタネ)

 彼女の横顔は、いつもきらきらと輝いている。 ジムリーダーとしてバトルに励むときも、草花を愛で、育てるときも。……もちろん、ポケモンの様子をうかがうときだって。 いつもナタネさんはとてもきれいで、可愛くて、僕の視界をちかちかと弾けさせるのだ…

無題

「はいはいっ、はーい! できたよたまちゃん、おそろいツインテール!」 言いながら、咲希は私の目の前に手鏡を持ってくる。楕円の板を薄目で覗くと、そこには普段と似ても似つかない女がいた。 咲希と同じように高い位置で結ばれたツインテールは、いつも…

無題(クロード)

 アスク王国で出会ったウィノナは記憶より何倍も花車なように見えて、思わずその腕を掴んでしまった。 俺の突飛な行動に、目の前の少女は前髪の下にある藍玉を大きく見開く。か細く吐き出された「どちら様ですか」というひと言の、あまりの他人行儀な響きに…

無題

 私は、みんなのようにショーにたいして特別に努力してきたわけじゃない。 思い入れならそれなりにあるけれど、しかし、ワンダーランズ×ショウタイムのみんなを見ているとそれすらもちっぽなものに感じてしまう。その段差を前にするたび、ひどく居心地が悪…

無題(グラジオ)

「グラジオさま、お出かけですか?」 モンスターボールに収められたポケモンたちのコンディションを確認するグラジオさま。いつもどおり仏頂面のように見えるが、その横顔にはほんのりとした高揚感が見てとれる。 わたしは知っていた。このお顔をしていると…

無題(dngn/苗木)ふんわりネタバレ

「あ、ねえ、詩百々さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど――」 刹那、わたしの心臓はにわかに跳ねる。大げさに揺れそうな肩をすんでのところで押さえつけて、平静を装いながら振り向いた。 わたしの目線よりも少しだけ高いところにいた苗木くんは、ほ…

無題

「ギンガ団について……? うーん、あんまり詳しくないんだよねえ」 ハクタイ近辺にはギンガ団員が多い。理由など言わずもがな、町の北西に鎮座するギンガハクタイビルが団員を食らっては吐き出しているからだ。 この町に住まう人間として、僕は何度もギン…

ポケットじゃないモンスター(セキ)

 よもや、こんなにもしみったれた想いを抱くようになるとは。 色男が聞いて呆れる――なんていうのは、彼女を愛するようになってからきっと何度も思ったことだ。 世間から見れば取るに足らないような娘で、老輩たちからすれば不釣り合いだとか、似合わない…

終わりの音がするような(ガジ)

※公式で片想いフラグのあるキャラとの恋愛描写あり---「なあグリシナ、少し散歩にでも行かないカ?」 言うやいなや、ガジさんは私の手を引っぱって歩き出した。曖昧に笑う様子はなんとなく不安を掻き立てるようで、まるで追い立てられるように彼の背中を…

もお!(ガジ)

※公式で片想いフラグのあるキャラとの恋愛描写---「グリシナの髪は綺麗だよナ。指がするする通って気持ちが良イ」 私の髪をひと束手に取りながら、出し抜けにそんなことを言うガジさん。ひどく優しげに細められた隻眼は冗談を言っているふうでもなく、私…

乾酪は嫌いよ(ディミトリ)近親愛

「力加減こそいささか難しいが、片手で食べられるのはいいな。行儀は悪いが公務の傍らで食事を済ませられそうだ」「あなたならそう言うと思っていたわ。調理も麺包を切って野菜や肉、あとは……そうね、乾酪を挟む人もいるのかしら。とにかくそのくらいだから…