原神

ちいさな島の森の奥

※現パロ、あつ森やってる世界線--- ここ数ヶ月、はとあるゲームに夢中になっているようである。僕自身はあまり触ったことのない部類だが、牧歌的な雰囲気はあの子によく似合うもので、熱中するのも頷ける。 しかし、最近はその度合いがやけに目立つよう…

あとがき

たまにあるあとがきのコーナーです。色々練り直したりなんだりしながら書いた難産シリーズだったんですが、無事に完結させられて安心しました……このお話を書くうえでちょこちょこスネージナヤ(ロシア)について調べたりしてたんですが、おかげであのあたり…

冬枯れの花嫁

「公子様は、あの娘が恐ろしくないのですか」 そう持ちかけてきたのは、先日共に仕事をしたデットエージェントの一人、ラヴィルだ。北国銀行の近く、俺が一人で黄昏れているところを見計らって話しかけてきたあたり、どうやら至極真面目かつ、大きな声では言…

隠し味は気遣い

「――もうっ、お兄さん! こんなところで寝てちゃダメだよ」 頭上から降りかかってきた声に目を開ける。刺すような日光に瞬きを繰り返しながら、人の形にくり抜かれたシルエットをじっと見つめていた――その影の主が眉をつり上がらせているのに気づいたの…

「公子」の導き

 人間には、生まれつきの素質というものがある。それはいわゆる才能と呼ぶべきもので、多かれ少なかれその人の運命を決定づけるものであるだろう。 しかし、結局のところそれもただの判断基準のひとつでしかない。最終的には当人の信念や経験、それら様々な…

君の答え

※軽度の嘔吐描写あり--- を一人前の戦士に育て上げるにあたって、まず一番にやるべきこと。それは、彼女の抱えた弱点――いわゆるトラウマ、心の傷をすっかり拭ってやることだった。 恐れは逃げにつながる。敵に背中を見せるようなヤワな人間じゃあ高み…

陽に透ける桃園の景色

 毎年、誕生日が近づくとふと思い出すことがある。 もう十年近く前のことになるだろうか、それは残暑に片足を踏み入れた頃の、ほんの少し風が涼しくなってきた、九月初旬のことだった。ぼくは行秋や香菱が誕生日のお祝いをしてくれると聞き、万民堂へと赴い…

夕暮れの黒猫

「……で、そのプレゼントがこのドレスってわけ」 試着室から出てきたは、どこか恨めしそうに俺のことを睨めつけてくる。 小柄な体型の彼女であるが、俺の見立てたドレスは想像以上によく似合っていた。漆黒のそれは彼女の秘めたる種を引き立てるようであり…

そこに私は、いないけど

「今年の『お父様』のお誕生日は、いったい何をしようかしら」 じっくりと、紅茶を片手に考え込むような素振りでリネットがつぶやく。その内容は他でもない、来月に迫った「お父様」のお誕生日をどんなふうにお祝いするか、という話だ。 どうやらこれは壁炉…

親愛なる君へ

 彼女の寝顔を見るのはこれで三度目になるだろうか。眠っているとそのあどけなさはひときわ強まり、その内に秘めている「争いの種」なんて微塵も感じさせない。 腕のなかで寝息を立てはじめた彼女をそっとベッドに寝かせたあと、隣に寝転がってみたり、ベッ…

ワイナリーの大掃除3

 アカツキワイナリーの使用人の間には、いわゆる「暗黙の了解」と呼ばれるものがいくつも存在しているらしい。それらはオーナーの責務に関わる重大なものであったり、はたまた日常の何気ない気遣いから来るものであったりと様々だが、真面目な使用人たちは可…