本日の主役たる私
本日・八月二十三日はの誕生日だ。 翹英荘の子どもたちは皆、毎年のように大人たちから誕生日を祝ってもらう。もちろんそれはも例外ではなく、他に誕生日が被っている人もいないので、今日の彼女は翹英荘の主役だった。 一歩外に出るたび、プレゼントを渡…
原神 文章 獅子と羊の筒井筒 短編(嘉明)
一緒に帰ろう
「今日の蒲公英たち、いつもより立派に咲いてて素敵ね」 店先に並ぶ蒲公英を丁寧に手入れしながら、満足そうにフローラが言う。 イグサやセシリアの花を並べる傍らでそちらに目を向けてみると、確かに本日の蒲公英は普段より元気そうに見えた。先日新しくし…
Admire 原神 文章 短編(ディルック2)
「私たち、前にも会ったことがあるよね?」
ああ、どうしていつもこうなっちゃうんだろう――嫌な予感というやつは、なぜだかいつも的中してしまうものである。 何を間違えたのか? 何がよくなかったのか? 冷静さを欠いた頭では、たとえどれだけ考えても答えが出ることはない。 ひとつだけ確かな…
Adore 原神 文章 波間をたゆたうトラジディ
桃一色
何気ない、よく晴れた朝のことだった。春の訪れからしばらくした今日、寝起きの視界に飛び込んできたビッグニュース。この吉報を早くに伝えたくて、朝食を食べる時間すら惜しみ、無我夢中で駆け出したのがほんの少し前のことだ。 ほんのり汗ばむくらいのこ…
一片冰心 原神 文章 短編(重雲)
春の風をまといて
――ああ、ちょうどよかった。君に伝えておきたいことがあったんだ。 常人ならば身構えてしまうであろうディルックの言葉を、はいっさいの緊張を孕むことなく受け取った。 理由は大したことではない……もちろん、「ディルックさんはいつもわたしに優しい…
Admire 原神 文章 短編(ディルック2)
「俺たちの目が、いつまでも同じところを見ていられるように。」
フォンテーヌに入ってから、果たしてどれほどの時が経った頃だったろうか。あの性格を考えれば当然だが、早速この国での休暇に退屈しはじめたタルタリヤは、「決闘代理人」という響きにすっかり夢中になってしまっていた。 彼は事あるごとにホテル・ドゥボ…
Adore 原神 文章 波間をたゆたうトラジディ
形影一如
「――やっぱり、皆さん相変わらずでした。なかには、『俺たちが飲めば飲むほど酒はたくさん作られる』なんて言ってる人もいて……」「酔っ払いにありがちな謎理論だな」 アカツキワイナリーの屋敷に足を踏み入れた直後。旅人の視界の先には、赤と緑の見慣れ…
Admire イベント(のんびり旅行記) 原神 文章
現地調査
エンジェルズシェアは情報収集、および人探しにもってこいの場所である。 理由は至極単純だ。モンド人は何よりも酒を愛しているがゆえ、この場にはたくさんの人間が集まる。つまり、シンプルに効率がいいのである。 次に、酒に身を委ねた人間は驚くほど口…
Admire イベント(のんびり旅行記) 原神 文章
約束
――そういえば最近、たちの顔を見てない気がするぞ。あいつ、なんとなくふわふわ〜ってしてるし、ディルックの旦那にいじめられてないといいけど…… それは、旧友の足跡をたどる旅路の只中のことだった。パイモンの提案によってモンド城を訪れた旅人は、…
Admire イベント(のんびり旅行記) 原神 文章
「タルタリヤはいつも突然だ。」
――タルタリヤはいつも突然だ。 彼が突拍子もない行動に出ることなんて、にとってはもはや日常茶飯事も良いところだった。なぜなら彼という人は、それこそ出会ったときから――否、存在を認知したあの瞬間からずっと、変わらないままなのだから。 とはい…
Adore 原神 文章 波間をたゆたうトラジディ
今日も平和な一日に
ここ数年、アカツキワイナリーではデザートのバリエーションが一品増えた。 否、増えたと言っても別に新しいレシピを開発したわけではなく、とある料理を出す機会が特段に増えた、というだけだ。モンドに古くから伝わる伝統的なそのレシピは、ワイナリーの…
Admire 原神 文章 短編(ディルック2)
しあわせを辿る景色
『親愛なるへ よう、元気してるか? ……なんて、ついこの間返事をもらったばっかだし、さすがにちょっと心配しすぎか。 オレのほうは特に問題ないぜ。つーか、むしろ良いことずくめなんだよ、マジで! ほら、オレって今年の海灯祭で獣舞を披露しただろ?…
原神 文章 獅子と羊の筒井筒 翹英荘より愛を込めて