ルーンファクトリー

希う

『珍しいモンスターを保護したから、デズにも見に来て欲しイ』 そんな誘い文句につられて、オレはガジの家へと出向いていた。 彼はこのドワーフの集落の中でも特に親しい友人で、普段からどこか飄々としている掴みどころのないやつだ。家だってわりと近いほ…

四人目の家族

※子供がいる---「産後の肥立ちが悪い」なんて言葉は、今までの人生でも何十回と聞いてきタ。それは、たとえばゼークス帝国にいた頃のくだらない喧騒だったり、雑貨屋の店番をしていたときの、なんてことない世間話だったリ。 当時のオレは「ご愁傷さマ」…

あなたのほうよ

「だから無理すんなって言っただロ!」 見慣れた木造の天井を眺めるあたしに向かって、ダグはため息まじりに呆れたような声を出す。 ふかふかのベッドは温かいし、ダグは隣にいてくれるうえ、言葉は少し乱暴でもあたしを気遣ってくれているという、個人的に…

黄金の欠片

 黄金に「誰か」の面影を見た。 その「誰か」が誰なのか、擦り切れた記憶のページをめくってなんとか手繰ってみようとする。おそらく従軍時代の記憶だ。頭の片隅にいるのはもはや顔も朧気になってしまった男であるが、ただ無機質な日々を送るなか、「故郷に…

恋の予感?

 ダグ、と呼ばれてふと我に返る。 手元にあった報告書をぱたりと閉じ、声のほうを振り向けばそこにいたのは家主であるブロッサムだった。 相も変わらず穏やかな笑みをたたえるそのすがたに、ちくりと罪悪感が刺激されてほんの一瞬だけ顔をしかめる。 ――…

05

「…………」「…………」「……なんかやけにしおらしいなと思ったらやっぱり体調崩してんじゃねーカ!」「え……えへへ……」「寝る前にあんなこと言われたほうの身にもなってみロ! そのうえいつになっても全ッ然起きてこねーんだからヨ!」「面目ないわ……

04

「――ねえダグ、まだ起きてる?」「ん……どうしタ? こんな夜遅ク」「えっと……」「?」「ちょっとね、顔が見たくなっちゃったの」「えっ……お、おまエ――」「あと話もしたくて。いい?」「お、おう……話してみろヨ」「…………」「…………」「…………