心根の記憶
※転生パロ--- 目が覚めたとき、眼前に広がっていたのは見たこともない部屋だった。 床も天井もまっしろなこの部屋に、クロードとの二人はぼんやりと立っている。他にあるのは中央部に鎮座するちゃちな造りの机と、見るからに怪しげな十本の小瓶――そし…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
広がる空と紅の色
※現パロ--- なあ、オレンジデーって知ってるか――その一言で始まった習慣は、今年で果たして何回目になるだろう。 正直なところ、オレンジデーというイベントについてはあまり馴染みがなかった。名前くらいは聞いたことがあるな、というくらいで、よも…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
いつかでもしもの4月1日
※現パロ 「――子供ができたの」 随分と久しい二人きりの昼食に舌鼓を打っていた頃、不意に告げられたのはのとんでもない言葉だ。抑揚のない声で発せられたそれは、談笑もそこそこに和やかな雰囲気を保っていたリビングを一瞬で静かにした。 うつむきがち…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
日曜のさんじ
※現パロ べちょ。ずるん、ぬるり。 無様な音を立ててテーブルの上に落ちたそれを、は渋い顔をして見下ろした。ついさっき綺麗に磨いたばかりなのに、よもや早速汚してしまうだなんて一体どうしたことなのか。 透明ながらもずるずると滑り、紙一重で箸を…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
手繰りし緒の先にあり
※転生パロ 夢に見るほど恋い焦がれた、たった一人の女がいる。 それはどことなく朧気で、けれどもひどく鮮烈ないつかの記憶がもたらしたものだった。和気あいあいとした学び舎、二人だけの逢瀬、血なまぐさい戦場、やっと掴めた細い手。そのどれもがこの…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
きみがため
※ちょっとやらしい、現パロ 「おお……」 シャツのボタンに手をかけたクロードが数拍の後に感嘆の声をもらす。その目はどこか少年のようにきらきらとしていて、今まさに臨んでいる行為とのギャップに少し笑いそうになった。 彼の目に映っているのは先日買…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(クロード/パロ系)
臆病者の恋路
「あんたは、どことなくクロードと同じ匂いがします」 突き刺さるような視線とともに言葉を発したリシテアは、ただの一度も目を逸らすことなく、じいとを捉えている。 事の発端は積み上がった本の山を前にうなだれるリシテアを見たことだった。彼女はひどく…
ファイアーエムブレム 三日月の裏側 短編(リシテア)