ポケモン

あとがき

普段あとがきなんてそうそう書かないんですが、このお話はちょっと言いたいことがあったので例外的に置いています。先日blogのほうでもちょろっと申し上げたんですが(移転前の話なので今のMEMOにはないです)、夢主がオリ地方に行くことはずっと前か…

こんなのってないよ!(ヒビキ)

 一瞬の出来事だった。些細なきっかけでヒビキの視界は驚異的な速度で移り変わり、やがて真っ暗闇へと変貌を遂げる。 目まぐるしい変化はヒビキから正常な判断力を奪い、たちまち脳内をフリーズさせた。(あ――え、あれ……?) ……端的に言えば転んだの…

かがやく虹色(マツバ)

※ポケマスエピソードイベント「黄金色に輝く未来」ネタバレ注意  ---  きっと、心のどこかで触れることすら恐れ多いと思っていた。「いつか出会える」と信じながらも、否、だからこそ、今のぼくは手を伸ばせば簡単に届くそれを、積極的に求めることが…

手のひらの間に(ヒビキ)

 小さな庭の傍らに、うず高く盛り上がった土の山がある。 不格好な十字架の建てられたそれが何かの墓標であることも、その下にその「何か」が埋まっていることも。そして、おそらく幼い子どもが手ずから作り上げたものであることもひと目で理解できるほど、…

はじめて触れたもの

 セキに手を引かれながら帰路につき、とりわけ軽い足取りで集落へと帰ってきた。 こんなにもおだやかな気持ちで帰ってこれる日なんてなかなかない――そんなことを考えながら、隣を歩くセキの横顔を何度も見上げた。いつもどおり自信に満ち溢れた彼の表情だ…

一日千秋の迷い

 に縁談の話がもちかけられて、もうどれだけの月日が経つだろうか。 まるで昨日のことのようでも、はたまた数ヶ月も前のようでもある。時を司るシンオウさま――もとい、ディアルガさまを信仰するコンゴウ団らしからぬ時間感覚の混濁に、セキは苦い気持ちで…

太陽のようなあなた

 オオツは、ひどくおだやかな様子のまま言葉を続ける。そのさまは静かなさざなみのようでも、頬を抜ける海風のようでもあった。「……すなおな気持ちを伝えるとね。俺は、ちゃんとの縁談も悪くないな、と思ってる」 そして、そのいやに落ち着き払った彼が口…

白波のひと筆

 じっとしているのが怖かった。何もしないで、ぼんやりとあの集落に留まっているのが、なぜだかひどく愚かなことのように思えてならなかったのだ。 みんなの視線が突き刺さる。今となってはそれが敵意から来るものでないとわかっているはずなのに、それでも…