永遠にあなたのもの
その花は、奇しくも彼女の性質に――ひいては彼女を見つけたあの日の情景に、よく似ていると思ったのだ。 決して派手な様相ではない。いっとう目立つような雰囲気ではなく、いうなれば日常に溶け込むような、身近で、自然な存在だった。ふと街路や花壇に目…
プロセカ 短編(司)
いつもそうだ!
巷では六月の第一日曜日を「プロポーズの日」と呼び、あちらこちらで様々なイベントを開催している。 ただ、プロポーズの日なんてたいそうな名前を冠してはいれど、別にプロポーズを推奨するような日でもないらしい。どちらかというともっと静的で、一歩を…
プロセカ 短編(司)
正直/名声/×××
五月十七日の誕生花にはいくつかあるが、なかでものお気に入りは黄色のチューリップだった。 チューリップという花自体この国では馴染みのあるものであるし、つるりとしたフォルムや鮮やかな色彩、種類によって様々な形をする花弁は見る人を決して飽きさせ…
プロセカ 短編(司)
精神の美
「咲希、お誕生日おめでとう。これ、私からのプレゼントなんだけど……受け取ってもらえると嬉しいな」 本日五月九日が咲希の誕生日であることは、他でもない司から耳にタコができるほど聞いた。学校でも、放課後でも、何ならフェニックスワンダーランドにい…
プロセカ 短編(司)
ほんとうのぼくたちは、
――あ。あの人たち、またやってる。 教室の窓から見える景色の真ん中に、やけに目立つ四人組のすがたがある。校庭の隅にいるはずなのになぜだか目を引くその集団は、つい先日結成したらしい四人組のユニットで……名前は確か、「Fantasista S…
プロセカ 短編(司)
夜空が透ける
――まるで、夜空みたいな色だ。真っ暗闇に沈むの髪を見ると、どうにもそう思ってしまう。 少しだけ癖のある髪を「咲希のものによく似ている」と思っていたのはもうずいぶん前のことで、今となっては唯一無二の、司にとって大切な宝物のひとつとなっていた…
プロセカ 短編(司)