どうか背中を向けないで
「むむむ……」 背中に突き刺さる視線を感じるのは、どうやら気のせいではないらしい。それなりに人通りのある自然公園の片隅で、は極力顔に出さないようにしながら、しかし、みだりに振り払うこともできないままでいる。 じっとりと刺さるそれは嫌な感じこ…
きみは太陽、ぼくは月 ポケモン 短編(リーリエ/ポケマス)
おしゃれ/気取り屋/行動的
「さん、さんっ! お誕生日おめでとうございます!」 それは、ちょうど休憩に入ってエーテルパラダイス内を歩いていた、昼下がりのことだった。 綻ぶような笑顔とともにやってきたリーリエは、にとってだいはくはつにも等しい言葉を優しく投げてくる。にこ…
きみは太陽、ぼくは月 ポケモン 短編(リーリエ/USUM)
たそがれティータイム
「お嬢さま、少し休憩なさってはいかがですか?」 ポットに並々そそいだロズレイティーをトレーに乗せ、は机に向かい熱中しているリーリエのそばへ歩み寄った。 が話しかけるその瞬間までひたすら眉間にしわを寄せていたリーリエだが、彼の声とロズレイティ…
きみは太陽、ぼくは月 ポケモン 短編(リーリエ/USUM)
わたくし、絶対挫けません!
――ここの模様が、お花みたいで可愛いから―― あの言葉に嘘はなかった。実際リーリエは植物のたぐいが大好きだったし、ラナキラマウンテンよろしく雪のようにまっしろなタマゴに、言いようのない魅力を感じていたのは紛うことなき事実である。 ただ、惹…
きみは太陽、ぼくは月 ポケモン 短編(リーリエ/アニメ)
04
次に目を覚ましたとき、の視界にあったのは変わらない真っ白な天井であった。 一切の汚れも見えない白。心が滅入りきったときにはまるで自分を拒絶するようなふうに見えていたこの天井も、今は少しだけ優しい色に思える気がした。この身を包み込んでいるシ…
きみは太陽、ぼくは月 てのひらに ポケモン
03
あたたかい感触がする。額を優しく撫でる手のひらはの傷ついた心身をゆっくりと癒やすようで、その柔らかくも厚いぬくもりに、夢現の狭間で胸の奥をじんわりと揺らした。 この手の主は誰だ――? ビッケのそれとはまた違う柔らかさをした肌は、ほんの一瞬…
きみは太陽、ぼくは月 てのひらに ポケモン
02
結局グラジオの見送りにも顔を出せないまま、は切迫とした日々を過ごしていた。旅立ちから早数ヶ月、彼が居なくても世界は変わらず進んでいき、きっとどこかでは息もつかせぬような日々が流れているのだろうと思う。 かつてのような空っぽの毎日。グラジオ…
きみは太陽、ぼくは月 てのひらに ポケモン
01
「近いうち、ここを出ようと思う」 それは、なんてことない昼下がりのことだった。 久々にエーテルパラダイスへと戻った日。ここを出た当時と変わらぬままのグラジオの部屋で、二人は羽根を伸ばしていた。いま落ちついているのはバルコニーに設置されたテー…
きみは太陽、ぼくは月 てのひらに ポケモン