05.指先に触れたもの
「よっす!」 背中をぼふんと叩けば、こちらの存在に気づいてはいなかったらしい彼の、命を背負う強い肩が怒る。思わず後退りするほどの機敏な動きに、ついこちらのほうが怖じてしまったのだが、当人は至っていつもの調子なようだ。「……やっぱ気合いが入る…
ゴッドイーター 届かない五題 神を喰らわば
04.いつも背中を見ていた
まだ、外部居住区に住んでいた頃の話だ。 生まれ育った故郷を離れ、目の前で両親を喰われ、そして姉を失い。遺された弟2人は私が育てねばならないのだと、半ば脅迫めいた使命感に苛まれていた。 まだ10やそこらの子供だった私は、もちろん間違いだって…
ゴッドイーター 届かない五題 神を喰らわば
03.笑わないで、泣きたくなるから
「大丈夫だって、心配すんなよ」 その言葉が空元気だということに気づいたのは、果たしていつのことだったろうか。 防衛班の結成から程なくして、私自身平静を欠いていた自覚はある。私事ながら、無二の家族である弟の反抗期で消耗しきっていたのだ。「育て…
ゴッドイーター 届かない五題 神を喰らわば
02.君にそんな顔させる原因はいつも彼
朝である。地下に作られた居住区において、寝覚めを良くしてくれる日光なんか射し込んでは来ないけれど。枕元に鎮座する時計と、自然と目覚めるこの体が、今が朝だと教えてくれた。 手短に、けれど手抜きではなく、最低限の用意を済ませて部屋を出る。仕事…
ゴッドイーター 届かない五題 神を喰らわば
01.その瞳の先は僕じゃない
ヒバリちゃん! と名を呼ぶ、弾んだ声にはもう慣れた。 いつしか彼の笑顔は自分ではない誰かのものになっていて、そうやって笑う姿をただ見ているだけの哀れな自分。彼の恋愛相談……もとい、「ヒバリちゃん」が如何に魅力的であるかを熱烈に語られる、そ…
ゴッドイーター 届かない五題 神を喰らわば