いつも背中を、いつかその手を
「オレがシアレンスに来る前の話なんだがな、それはそれは美しい花を見たことがあるんダ」 唐突に、けれどもひどく穏やかに語り出したのはガジだった。愛おしい人のゆったりとした声に、はじっと耳をかたむける。 郷愁にも似た色を滲ませる声はどこか淋しげ…
ルーンファクトリー 短編(ガジ) 花香る町で
心の奥にひそむ足音
※子供がいる --- 二階にいても聞こえてくる、鉄を打つ小気味の良い音。 目覚ましのごとく鳴り響くそれは幼い子どもたちを夢の世界から連れ戻してくれて、ふあふあとあどけないあくびの二重奏に私は思わず微笑んてしまった。 おはよう、今日も元気だ…
ルーンファクトリー 短編(ガジ) 花香る町で
意識、した?
「そういえばガジさん、最近エリザさんを見てもおかしくなりませんね」 おもむろにそう言ったのは親友であるマイスだった。ここはオッドワードの谷。今日は彼に誘われて、ちょっとした散歩に出かけていた。「……そうカ?」「そうですよ! 傍目に見ても心配…
ルーンファクトリー 短編(ガジ) 花香る町で
知ってるくせに
「逃げるなヨ」 後ろからまわされた手は思いの外たくましかった。 カルロスさんと比べたら細く見える彼の腕。女で、しかも年下の私のものと比べちゃいけないこともわかってるけれど。 だけどそうでもしていないと、今の私は頭がパンクしてしまいそうなの。…
ルーンファクトリー 短編(ガジ) 花香る町で
ないしょだよ
料理をする人にとって、「おいしい」は魔法の言葉。料理を食べる人にとって、「おいしい」は幸せの味。私はそう信じてる。 私は料理を作るのが好きだし、食べることだって大好き。私のご飯を食べてくれること、それを「おいしい」って言ってくれること、そ…
ルーンファクトリー 短編(ガジ) 花香る町で