Log/SS(プロセカ)

無題

「はいはいっ、はーい! できたよたまちゃん、おそろいツインテール!」 言いながら、咲希は私の目の前に手鏡を持ってくる。楕円の板を薄目で覗くと、そこには普段と似ても似つかない女がいた。 咲希と同じように高い位置で結ばれたツインテールは、いつも…

無題

 私は、みんなのようにショーにたいして特別に努力してきたわけじゃない。 思い入れならそれなりにあるけれど、しかし、ワンダーランズ×ショウタイムのみんなを見ているとそれすらもちっぽなものに感じてしまう。その段差を前にするたび、ひどく居心地が悪…

君をおもえば(絵名)GL

「……絵名。これ、あげる」 出し抜けに差し出された花束には、溢れかえるほどの花が微笑っている。こぶりなそれは澄んだ青紫が印象的で、見ているだけで心が洗われるようだ。「えっ……なに、どうしたの? 花束なんて」「通りがかった花屋で一目惚れしたの…

横顔と視線の先は(司)

「――元気にしてるかな」 ぽつりと落とされた輝夜のひと言が、頭の奥に突き刺さったまま抜けないでいる。彼女の思う人が誰なのか、もはや訊ねずともわかってしまったからだ。 輝夜の脳裏に浮かぶ人。彼女にとってはとても大きくて、けれど、向き合う勇気を…

水面の君(司)

別に、何とも思ってないけど――うつむいて言う輝夜のそれが、ただの強がりであることを知っている。両手で握り込んだグラスに、赤くなった頬が映っていることも。水面でゆらゆらと揺れる表情が、やけに愛らしい色をしていることも。正面に座り、ぬるくなり始…