カレンダー(ディルック)
カレンダーの日付を見ながら、はじっくりと思いふけっていた。今日は彼女にとってひどく特別な日であり、ほんの少し淋しさを連れてくる日でもある。 何を隠そう、今日は彼女が初恋のあの人――ディルック・ラグヴィンドに出会ってからちょうど四年となる日…
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俺が育てた(タルタリヤ※ちょっと下品)
このところ、タルタリヤの目が訝しげに眇められるときがある。はじめこそ気にしすぎかなと思っていたけれど、ここまで続くのを見るにどうやらただの勘違いというわけではなさそうだ。「ねえ、なんか最近変じゃない? ……わたし、何かした?」 わたしがそ…
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落とし蓋(嘉明)
の泣き顔なんて、今までの人生で何度も見てきた。 近所のガキ大将に泣き虫だっていじられたときとか、かくれんぼで誰も見つけられなかったときとか、仲良しのフワフワヤギがいなくなったときとか、截拳道の修行がしんどいときとか。他にも、オレは幼なじみ…
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何も言わずに寝てしまえ(タルタリヤ)
「……ま、待ってくれよ、? そういうのはちょっと、さすがの俺も困るんだけど――」 うろうろと視線を彷徨わせるタルタリヤの、真っ青な瞳を見つめた。返事など知らぬとばかりの振る舞いは、いつも向こうがやってくることだ。 彼は戸惑っているのだろう。…
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よぉく、味わって(ディルック)
今日のおやつは楽しみにしておくといい――それだけ言い残して、ディルックさんは私室から出ていった。わたしはいつもと違う彼の背中を見送りながら、三時のおやつに思いを馳せていたのだけれど……(す……すごくいいにおいがする。ちょっとくらい覗いても…
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皿の上の強敵(タルタリヤ)
「……はい、。あーんして」「んむ……」「ダメだよ、好き嫌いなんてしちゃ」「…………」「一人前の戦士になるんだろう? まったく、食べ物の好き嫌いも克服できないなんて、君の覚悟はその程度のものだったのかな」「っ……その程度って言うけどさ、わたし…
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バルーンフラワー(ディルック)
時おり、が耐え忍ぶように両目をきゅ、と瞑るときがある。はじめのうちは僕の言動で怖がらせてしまったか、もしくは何か嫌なことを思い出させてしまったのかと申し訳なく思っていたが、今しがたそれがおおきな誤解であることが判明した。「ば……爆発しそう…
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僕だけを見ていろ(ディルック)
最近、アカツキワイナリーに一匹の子犬が仲間入りした。それは比喩的な表現ではなく、本物のちいさな犬である。 愛くるしい彼はあっという間に従業員の人気者となり、首輪もしていなかったことから野良であると判断された結果、とあるメイドが嬉々として引…
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たとえどれだけ些細であろうと(ディルック)
朝のお支度を手伝うとき、ディルックさんのネクタイを結ばせてもらうことがある。 そういった経験が今までほとんどなかったわたしは、最初の頃なんか本当にもたもたしちゃって、やっと結べても形がぐちゃぐちゃで見てられないことばかりだった。きっとディ…
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わかんなかった?(タルタリヤ)
「ほんと、は俺のこと大好きでかわいいよね」 ほんの少し締まりのない顔で、タルタリヤはそう言ってのける。わたしのことを思いっきり抱き込むその両頬には、いつも「満足」の二文字が書かれているようだった。 わたしとしては、納得いかない。だってむしろ…
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何もしないということをする(ディルック)
大聖堂に足を運ぶたび、なんだか不思議な気持ちになる。 件の事故のあと、しばらくここに保護してもらっていたのがもうずっと昔のことのようだ。あの頃は本当、みんなに――とくにバーバラちゃんにはひときわ迷惑をかけたな、と反省することが多い。 わた…
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わたしの人生って、(重雲)
わたしの人生は無駄なものなんかじゃなかったって、胸を張って言えるような人間になりたかった――なんて、そんなキラキラした考えはとうの昔になくなった。否、もしかするとどこかに忘れてきてしまったのかもしれない。 こういうとき、世間では「お母さん…
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