わたしの人生って、(重雲)

 わたしの人生は無駄なものなんかじゃなかったって、胸を張って言えるような人間になりたかった――なんて、そんなキラキラした考えはとうの昔になくなった。否、もしかするとどこかに忘れてきてしまったのかもしれない。
 こういうとき、世間では「お母さんのお腹のなかに置いてきた」とか言うんだっけ? でも、あいにくとわたしはお母さんを知らないどころか存在すら感じたことがないから、そういう感覚はよくわからないんだけど。
 とにかく、わたしは結局自分の生まれた意味も理由もわからないまま、綱渡りのような毎日を送っている。呼吸は苦しく、体はだるい。目も霞んで、最近は重雲がどんな顔をしてるかわからないようなことが増えた。いよいよ、終わりが近いのだと思う。
 でも、こんなにも終わりが近いのなら、せめてわたしが夢見たとおりの結末が訪れますように。……ううん、そうでなければいけないんだ。そのためにわたしは今歯を食いしばってなんとか耐えてるんだから、せめてこの願いだけは絶対叶えて死んでやる。
 たとえそれが、あの純粋で素直な氷の少年に、消えない傷を残す結果になったとしても。

貴方は×××で『美しい終わり方』をお題にして140文字SSを書いてください。

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2024/09/07