君に希う、その行く末にて

吐露

「交流祭、ねえ……」 風呂を沸かすための薪割りに精を出しながら、は独りごちていた。 近々このシアレンスと有角人の集落とで交流祭を行うらしい。長い間いがみ合っていた人間と有角人が手を取り合うため、ひいてはシアレンスの花を咲かせるためだと、近ご…

呼び声

『     』 誰かに呼ばれている気がしていた。その声は、お母さんが死んでしまってから感じるようになったものだと思う。耳から聞こえる類いのものじゃなくて、もっと内側から、例えるなら頭の中に直接語りかけてくるような。 一歩進めば、その声はひと…

希う

『珍しいモンスターを保護したから、デズにも見に来て欲しイ』 そんな誘い文句につられて、オレはガジの家へと出向いていた。 彼はこのドワーフの集落の中でも特に親しい友人で、普段からどこか飄々としている掴みどころのないやつだ。家だってわりと近いほ…