吐露
「交流祭、ねえ……」 風呂を沸かすための薪割りに精を出しながら、は独りごちていた。 近々このシアレンスと有角人の集落とで交流祭を行うらしい。長い間いがみ合っていた人間と有角人が手を取り合うため、ひいてはシアレンスの花を咲かせるためだと、近ご…
ルーンファクトリー 君に希う、その行く末にて 花香る町で
呼び声
『 』 誰かに呼ばれている気がしていた。その声は、お母さんが死んでしまってから感じるようになったものだと思う。耳から聞こえる類いのものじゃなくて、もっと内側から、例えるなら頭の中に直接語りかけてくるような。 一歩進めば、その声はひと…
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新たなる旅立ち
昨日までは元気だった。昨日までは健在だった。昨日まではちゃんと、歩いて、笑って、この頭をなでてくれた。 けれどもう、今朝にそんなものはなかった。 ◇◇◇ 「お父さん……」 目の前のお父さんは、もうぴくりとも動かない。……死んではいない…
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希う
『珍しいモンスターを保護したから、デズにも見に来て欲しイ』 そんな誘い文句につられて、オレはガジの家へと出向いていた。 彼はこのドワーフの集落の中でも特に親しい友人で、普段からどこか飄々としている掴みどころのないやつだ。家だってわりと近いほ…
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果てしない序章
『あなたのお父さんはね、本当に優しい人だったの』 それが、母の口ぐせだった。 母はずっと私を守ってくれていた。一般的なフワリとは異なる毛色をした私を、トロくさくてすぐに捕まりそうになる私を、いつまで経っても強くなる兆しを見せなかった私を。 …
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