※近親愛要素有
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オレたちって、双子なのになんでこんなに違うんだろうな――
夕食の時間だった。やっと片づいてきたリビングの真ん中、テーブルを挟んで食事をしていたときに、ユウキがそうつぶやいたのは。
今日の晩ごはんは、お隣さんにおすそ分けしてもらったキャベツを使ったミルフィーユ鍋。まだまだ片づけを頑張らないといけないから、気合いを入れるためにいつもよりからめの味つけにしてある。
「なんで急にそんなこと訊くの?」あたしが言うと、ユウキは考え込む素振りを見せながらキャベツを口に運ぶ。ゆっくりと咀嚼するその頬の動きは、かつて実家でよく見ていたパパのそれによく似ていた。
「なんかさ、ふと気になっちゃって。オレたちってマジで似てないじゃん。顔や性格もそうだし、それこそ味の好みとか」
「そうだねえ。あたしはあまいのが好きだけど、ユウキはそこまででもないし。……あ、今日の味つけからすぎたりしない?」
あたしが尋ねると、ユウキは「ちょうどいい」と答える。……正直あたしはちょっとからすぎたかなと思ってるけど、ユウキがいいならそれでいいかな。ユウキはポケモンたちに負けないくらい、力仕事を頑張ってくれてるしね。
はふ、とキャベツを口のなかで転がしながら、あたしはユウキの言葉を待つ。
「オレ、おまえと双子でよかったなって思ってる。おかげでずっと一緒にいられるし、おまえの一番近くにいるのが自分だって確信にもなるから。……でも、だからこそたまに思うんだよ。なんでこんなに似てないんだ、って――」
かつん。ユウキの赤いお箸の先が、お皿の縁にぶつかった。沈黙のなかにその音は妙に響いて、あたしは思わずキャベツを取り落としそうになる。
うーん、と悩みながらお肉を頬張るユウキに、あたしはふと吹き出してしまった。ぽっこりと膨らんだほっぺたが、まるでホシガリスみたいだったから。
突然あたしが吹き出したせいで、ユウキは当たり前のように怪訝そうな目を向けてくる。……その顔は妙にかわいかった。
「でも、あたしは似てなくてよかったと思うよ」
「なんで?」
「なんで、って……そりゃあ、似てないおかげで暮らしやすいでしょ? あたしたちがいくら仲良さそうにしても、みんな関係を疑ってきたりしないし……たまに『幼なじみなんですか?』って聞かれるくらいで」
「え、ちなみになんて答えてんの」
「時と場合によるけど……まあだいたい、『似たようなものです』とだけ」
あたしの返答に、ユウキはまるで感心したように目を輝かせた。そうして何度もうなずく仕草は幼い頃からちっとも変わってなくて、いくら年をとってもそのまっすぐさとすなおさが失われていないことがわかる。あたしの好きな仕草のひとつだ。
「あたしはママ似で、ユウキはパパ似。あたしたち、それでいいんだと思う」
あたしたちって、「こう」だからこそ今の関係になれてるんだよ――
ユウキは目を見開いた。そして噛みしめるようにうなずき、とびきりの笑顔を浮かべる。……この顔も、本当にずっと変わらないな。
あたしたちは似ていない。……否、大人になるにつれてそれぞれに自我が芽生え、変化し、違う道を歩むようになってしまっただけだ。
ルビーとサファイアが、色が違うだけの同じ宝石であるように。もともと無色透明だったあたしたちは、異なる旅路を歩んだことでそれぞれの色を持ち、違うものに変わってしまった。
そして、それこそがあたしたちへの「答え」なのだと思う。あたしたちはなるべくしてこうなった。それはまるで柵のようにあたしを縛りつけることもあったし、お互いに数多のものを捨てさせて、大切な人を悲しませる結果にも繋がっている。けれど、こうして何度もねじ曲がったすえに続くこの道こそを、あたしは愛してしまったから。
後悔は消えない。罪悪感もなくならない。けれど、だからといって後戻りもしたくない。ここまで来たなら突き進むだけだ。それこそがあたしの運命で、ユウキと共に暮らすための、唯一の道だと思うから。
#novelmber 26.対照的な
2025/11/14
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