※近親愛要素有
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オレたちって、双子なのになんでこんなに違うんだろうな――
狭い狭いひみつきちのなか、ユウキはこちらに背を向けたままそうつぶやく。反射的に振り向くと背中越しに彼のバシャーモと目があって、妙な気まずさを感じながら愛想笑いを返した。バシャーモはあたしの笑みに違和感を覚えたのか、ほんの一瞬訝しむような顔を見せる。
「違う、って……そりゃ、あたしたちは二卵性だし、仕方ないんじゃないの?」
「ニランセー?」
「んっと……双子ってね、一卵性双生児と二卵性双生児の二種類があるんだって。あたしたちは多分二卵性で、双子は双子でも、ぶっちゃけ兄弟と変わんないみたい」
「ふーん……」
一卵性双生児と二卵性双生児には、越えられない壁がある。一卵性は文字通りひとつをふたつに分かちたようであるけれど、二卵性は所詮別個体で、前者ほど特別ではなく、言ってしまえば同時に生まれた兄弟のようなものだ。
ゆえに、あたしたちは別に「特別」ではない。たまたま一緒に生まれただけ。世間で囁かれるような双子のテレパシーなんてものは存在しないし、たとえばポケモンバトルの腕前も、学力も、運動神経も見ているものも、世間からの評価も、何もかもが違っている。
「双子」なんてたいそうなレッテルを貼るべきではないのではないかと思うくらい、あたしたちは「普通」だった。
ユウキは未だ考え込んでいるようだ。あたしの説明がわかりにくかったのだろうか? もう一度説明し直そうかと口を開きかけるも、それはユウキがこちらを振り向いたことで遮られる。
「でもさ、そういうのって何か関係あるのかな?」ユウキのまっすぐな言葉に、あたしは思わず面食らった。
「イチランセーとニランセーで差があることはわかったよ。でも、それってあくまで生まれる前の話だろ?」
「うん……」
「オレたち、生まれてからずっと一緒にいるじゃん。同じ両親に育てられて、同じものを見て、同じ家で、母さんの作ってくれるごはんやおやつを食べておおきくなった。そういうのに、イチランセーもニランセーも関係ないだろ」
ユウキは、言葉よりもまっすぐにあたしのことを見つめてくる。射抜くようなその視線はひどく痛くて、あたしは胸の奥をじくじくと焼かれるようだった。
彼の言うことはもっともだ。確かにあたしたちは同じ世界を見て、同じものを与えられながら育った。ならば、あたしたちをこんなにも「別個体」にした原因はなんなのだろう――そんなの、考えずともわかることだ。
「あたしたちがこうなったのは……ミシロタウンを別々に旅立っちゃった、せいかもね」
ずっと同じものを見てきたあたしたちが、こんなふうに変わってしまったのは。……あたしがユウキのことを恐ろしいと思うようになったのは、あたしたちが初めて、違う世界に飛び出したことが原因だ。
ルビーとサファイアが、色が違うだけの同じ宝石であるように。もともと無色透明だったあたしたちは、異なる旅路を歩んだことでそれぞれの色を持ち、違うものに変わってしまった。
であれば、あたしたちは同じ旅路を歩めばこうはならなかったのだろうか? 共に冒険を重ねていれば、こんな痛みを味わうこともなかったし、何も知らないままの二人でいられたのか。……そんなのわからない。そんなこと、誰にもわかるはずはない。
あたしがうつむいて答えると、ユウキは眉間にぐっとシワを寄せて、再び考え込むような素振りを見せた。「オレは、今でもチイロのことを一番大事な片割れだと思ってるけど」ユウキの言葉に応える余裕は、今のあたしにはなかった。
#novelmber 5.隠れが
2025/11/13
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