※龍ファク特大バレ有
※擬獣化要素有
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最近、ヒルダは犬を飼いはじめた。理由としては大したものではなく、単に寂しかったというだけだ。
気まぐれで立ち寄ったペットショップで果たした、運命の出会い。ふと目にとまったのは珍しい毛色をした二匹で、片方は透明感のある白銀一色、もう片方は白銀と黒のグラデーションの毛並みをしていた。
彼らはどうやら双子であるらしく、特別仲が良いわけではないものの、離れることを極端に拒むのだと言う。ゆえになかなか買い手が見つからないのだと、ケージを眺めている最中に店長から聞かされた。
ケージのなかでじゃれつく二匹と視線が合った刹那の、まるで雷にでも撃たれたような衝撃が忘れられない。二匹まとめて迎えたいと言ったときの、驚愕と歓喜の混じった店長の表情も。
そうして新たな家族を迎えたのが先週のことだ。立地の関係でペット可のマンションに住んでいた自分に感謝しながら、殻にもなく浮ついた気持ちで部屋を片づけた。リビングは子犬が二匹走りまわっても問題ない程度には家具の位置を調整したし、立ち入り禁止ゾーンにはきちんと柵を設けた。店長に話をうかがって空調や環境も調節したし、奮発してペットカメラも取りつけている。彼らを迎えるまでは準備に明け暮れて怒涛の日々を過ごしたが、足元にじゃれつく二匹を見ていると、そんな苦労はすべて吹っ飛んでしまう。
「こら、フブキ。それからハウンドも。あまりうろちょろしてると危ないから、少し離れてちょうだい」
リビングを横断するヒルダは、足元の二匹につとめて優しく声をかける。「フブキ」と名づけられた白銀の子犬はヒルダの目をじっと見つめたのちに距離をとってくれたが、もう一方、「ハウンド」と呼ばれた黒い子犬は彼女の言うことなどお構いなしにまとわりついたままだ。
ため息混じりにハウンドを持ち上げてやると、今度は抱っこを求めたフブキが寂しげに鳴いてくる。クゥン……と縋るような声はヒルダの母性や良心を的確に刺激して、気づけばヒルダは二匹を抱えながらソファに腰を下ろしていた。アイボリーのそれはヒルダのお気に入りのひとつだが、最近は少し引っかき傷が目立つようになっている。
「今日は荷物の整理をしようと思っていたのだけど……あなたたちを見ていると何もできないわね」
物言いこそ呆れているようだが、その実ヒルダの頬は緩んでいる。愛おしい二匹を膝に乗せて触れ合っていると疲れも寂しさも吹き飛んでいくし、心がすっとあたたかくなって、苦しみも和らいでいくのだ。
新しい家族は、ヒルダの日々をまたたく間に彩っていく。それは彼女にとって好転と言うほかなく、失いかけていた人生への希望を、確かに取り戻させてくれた。
2025/10/29
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