「一目惚れ」って、少し怖い。
わたしは、アレスくんのことを好きになって人生ががらりと変わった。いずれは帰るつもりだった故郷に別れを告げ――とはいえ定期的に里帰りはしているのだけど――このリグバースに根を下ろし、のんびりとした、穏やかな日々を過ごしている。
アレスくんと一緒にいると、毎日が少しだけ楽しくなる。朝目が覚めて一番に目に入る、大好きな人の寝顔。あどけない頬をつついたときの情けない声や、何を言っているのかわからない寝言……空色の瞳がまばたきを繰り返したあと、わたしの顔を映した途端に微笑む、あの温度。
買い物に行ったときにも、すぐアレスくんの顔が浮かんだりして。「これはアレスくんが喜びそうだな」とか、「わたしがこれを着けてたら褒めてくれるかな」とか……あとは、楽しいことがあったとき、綺麗なものを見たときに、「ここにアレスくんがいたらな」なんて考えることもたびたびある。そうして、アレスくんのことばかり考えてる自分が妙におかしくて、ついつい吹き出してしまうんだ。
そういった何気ないしあわせは、いつもアレスくんの隣にある。彼がいると毎日が楽しい。愛しくて、くるしくて、時おり爆発してしまいそうになるくらいで、わたしはそのしあわせを全身で受けとめながら、彼と出会って変わってしまった自分の人生について考えたりもするのだけど――
アレスくんと出会ってなかったら、今頃わたしは何をしてたんだろう? さっさとこの町を出て、たくさんの出会いと別れを経て、最終的には故郷に戻り、誰かと結婚してたのかな? でも、アレスくん以外の人と恋に落ちる自分なんて、正直あんまり想像できないかも。
そもそもこのリグバースを去る自分ですらうまく思い描けないのだから、もしかするとわたしはアレスくんに出会うために生まれてきたのかもしれないな、なんて考えちゃったりもしてね。
アレスくんのことを想うたび、わたしは胸の奥がふるえて、熱くなって、ついつい頬が緩んでしまう。好きすぎてどうにかなっちゃいそう、っていうのは、きっとこういうことを言うのだろうな。
アレスくんからしたら、わたしは考えが読めなくて突拍子のない人間らしいけど……わたしは彼が思うよりずっとずっとアレスくんのことが大好きで、彼のために生きたい、彼のとなりにいたいって思ってるのに、うまく伝わらないものなんだな。
……でもまあ、全部が全部伝わっちゃったらおもしろくないし、このくらいがちょうどいいのかもね。
貴方は×××で『どうにかなってしまいそう』をお題にして140文字SSを書いてください。
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2025/10/01
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