資格(タツミ)

 私がフェンリル極東支部に迎え入れられたのは、偏食因子への適性と、両親から託された医学知識に加えて、彼らの形見である数冊の医学書を認められたからだった。
 しかし、神機使いとしての適性こそあったものの、すぐには適合する神機が見つからず、しばらくのあいだ医療班で働くこととなった。それから約一年ほど経った頃に、晴れて神機を握ることができるようになったのだ。
 神機使いとして生まれ変わったあの日、私は今まで身にまとっていた医療班の制服を脱ぎ、神機使いの制服に着替えた。機動性を重視したそれは、かつて姉が身につけていたものとよく似ており――震えるような緊張と喜び、その両方が足元から這い上がってきたことを覚えている。
 もう、裏方の私じゃない。……また「彼」の隣に立てる。彼の役に立って、彼と共に戦うことができる。私にとって「神機使い」という称号は、彼の――大森タツミという、かけがえのない少年の隣に並び立つための資格に他ならなかった。

あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『戦闘服に身を包み』です

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2024/09/01