緊急事態、ですわ!(フレン)GL

 ああ、ああ! どうしましょう、わたくし、胸が苦しくて眩暈がしますわ――

 セテスがすっ飛んできそうな文句を口にして、フレンは桃色に染まった頬を押さえながら、その場に座り込んでいる。彼女が何を考えているのかウィノナにはうまく読み取れなかったが、しかし、熱に浮かされたような瞳は決して見過ごせないものだった。とりあえず医務室に連れて行こうと彼女の白い手を取れば、その顔はひときわ赤く染まって、遂には涙まで滲む始末。
 こんなところ、もしもあのセテスに見られでもしたら――いくら女の自分であっても、きっとタダでは済まされないだろう。
 嗚呼、もういよいよダメかもしれない。飛竜の羽音の幻聴が耳の奥に滑り込む。戦争の只中にあって避けられぬ事態に、ウィノナは一瞬で目の前が真っ暗になった。

 
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『エマージェンシー』です
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