朝のひと時は(ククイ)

「ククイ博士、おはようございます」
 ポケモンスクールの門を潜り、職員室にて顔を合わせる。愛しいその人はこちらを窺うと白い歯を見せて笑い、いつもと変わらぬ挨拶をくれた。
「おはよう、マドカ。今日もよろしく頼むな」
 職員椅子に深く腰掛け、受け持つクラスの資料を難しい顔で眺める彼の背後にまわり、子供たちの写真を見比べる。入学したて、転校したての彼らは証明写真とあってか初々しい表情でカメラを見据えており、しっかり馴染んだ今と比べたら想像もつかない硬さだった。あたしが思わず吹き出すと、おそらく同じ考えだったらしいククイ博士もにっかりと笑う。
「今日はどんなハッピータイムが待ち受けてるんだろうな」
 そうですね、と頷く。まもなく子供たちの声が聴こえてくる頃だ。