あなたがそこにいるだけで(ディミトリ)近親愛

私は――私だけは、自分が何者なのかを知っている。なぜここにいるのかも、おのれがどれほどの愚か者なのかも。叶うわけもない恋に身をやつす馬鹿な女を、罵ってくれる人がいないことも。それでも私はここにいたい。ただここで、この士官学校で過ごすほんの少しのまほろばのようなひと時を、一生の宝物にするために。この恋や願いが望む形になるわけはないと、きっと、あの日に私は理解している。