君の宝をいただいた

「なあ、立花」
「はい?」
「白田とか、忍成兄弟とか……ロードナイトの人間を見てると、自分たちの努力諸々が少し馬鹿らしく思えてくるよな」
「あはは……それは本当に、先輩のおっしゃるとおりですね……」
「ユニヴェールに入ってもう三年目になるけど、あいつらを見ると未だに性別という概念がよくわからなくなるよ。気が楽なのも確かだけどね」
「気が楽……ですか。私は今でも少し怯えてしまうんですけど、いつか先輩みたいに大きく構えられるときが来るでしょうか」
「どうかな。立花は真面目だから、僕みたいに開き直るようなことはないかも」
「先輩は不真面目なんですか?」
「そうだよ。立花がびっくりしちゃうくらい」
「そうなんですか……」
「いつか見せてあげるよ。僕がどれだけ不真面目で悪い先輩なのかをね」

 
20210422