あたしには、少し不思議なお友だちがいる。
どこか浮世離れした雰囲気のその子はマイちゃんといって、おっきくてもふもふのウインディとなかよしの、とてもとても優しい子だ。知り合ったのはほんの少し前のことで、マイちゃんがたまたまこの街を通りかかったときだった。
マイちゃんは口数こそ少ないけれどとても話しやすくて、あたしはマイちゃんのまとう雰囲気や空気感が大好きだし、一緒にいると安心する。前にそのことを伝えたときにはマイちゃんも同じ気持ちだと言ってくれて、本当に本当に嬉しかったな。
あたしたちはそれぞれせいかくも住む場所も好きなものも違うけど、不思議と妙に気があって、まるで家族のように安らいで過ごすことができるのだ。
「花畑のポケモン?」
あたしがそう聞き返すと、マイちゃんは微笑みながら静かにうなずく。マイちゃんの手のひらには出来たてのポフィンが乗せられていて、ちょうど二人でつくったおやつをそれぞれのポケモンたちにあげるところだった。
「それって、初めて会ったときに探してるって言ってたやつ?」マイちゃんは再びうなずいた。
「あれからずっと探しつづけてるんだけど、なかなかうまくいかなくて……」
言いながら、マイちゃんはポフィンをウインディの口元へ運ぶ。ようきなウインディにあわせてあまく作ってあるそれを、ウインディはとびきりの笑顔とともに咥えた。
対するあたしは膝のうえのヒノアラシに、ちいさくちぎったポフィンをあげる。こちらはヒノアラシの好きなにがみを強くしていて、味見をするたびにあたしの顔はしわくちゃになってしまうのだけど、最近はそのにがさにも少しずつ慣れてきた気がする――そのことをセキさんに言った日には、これでもかというほど頭をなでくりまわされてしまうのだろうな。
「でもね、最近やっと手かかりを掴んだの。シンオウ地方の北東――チャンピオンロードの近くに、その花畑のポケモンにまつわる場所があるって」
わずかに高揚したマイちゃんの声に顔を上げた刹那、あたしは深い色をした瞳がきらめくのを見る。それはまるで花が咲いているようでもあって、自然と頬が緩んでしまった。
「マイちゃんなら絶対会えるよ!」ヒノアラシを切り株に座らせてから立ち上がり、マイちゃんの手をぎゅっと握る。この気持ちと熱意、それから応援の気持ちが手のひらから伝わればいいのに――そんなふうに念を込めると、マイちゃんは照れくさそうに眉を下げて笑ってくれた。
「その子に会えたら、絶対ヨヒラにも伝えるね……まずは電話する。それから、すぐに会いに来るから」
「うん、うんっ! あたしもヒノアラシもっ、マイちゃんのこと応援してるからっ――」
感極まったあたしがマイちゃんに抱きつくと、マイちゃんは戸惑いながらもひかえめに抱き返してくれた。
その日以降、あたしはマイちゃんからの連絡を心待ちにする日々を送ることになる。
それは、時にセキさんから上の空だとほっぺたをつままれる原因にもなるのだけど……マイちゃんを待つ時間も、セキさんからの茶々入れも、あたしはそのすべてが楽しくて仕方ないのだった。
2025/10/31
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