君が一番かわいい(ディルック)

 窓際に座り込むハーネイアは、燦々とした陽光を浴びながら、同じ言葉を何度も繰り返している。
 幼子に言葉を教えているかのような、はっきりとした発音のそれ。ゆっくりと紡がれるその文字列はこの場に似つかわしくないような気もするが、ディルックの興味を引くのはそんな細かいことじゃあない。
 彼女の意図は理解できる。おおよそ、幼い頃に読んだ絵本か何かに影響されているのだろう。傍から見れば馬鹿げた行為に他ならないが、彼女を愛おしく思うディルックの目には、ひどくいじらしいだけの戯れに映る――とはいえ、さすがにそろそろ口を挟まずにはいられなくなってきたのが本音だ。
 わずかな罪悪感を滲ませながら、ディルックは読書に勤しんでいた手をとめ、ハーネイアの後頭部に視線をやった。ツッコミどころ満載のこのシチュエーションを、なんとか変えてやるために。

「……ハーネイア。ヤマガラは喋ったりしないよ」

貴方は×××で『はじめまして、を繰り返す』をお題にして140文字SSを書いてください。

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2024/08/19