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「…………」
「…………」
「……なんかやけにしおらしいなと思ったらやっぱり体調崩してんじゃねーカ!」
「え……えへへ……」
「寝る前にあんなこと言われたほうの身にもなってみロ! そのうえいつになっても全ッ然起きてこねーんだからヨ!」
「面目ないわ……」
「ったく……デ? 今回はただの熱カ? それとも腹でも痛いのカ?」
「うーん……まあ、強いて言うなら熱と寒気と倦怠感と節々の痛みがあって……」
「重症じゃねーカ!!」
「そ、そんなことないわ。昨夜あなたと話せたから、メンタルのほうは思ったより滅入ってないのよ」
「本当かヨ……」
「ほんとほんと。……あんまり信用はないかもしれないけど」
「…………」
「…………」
「……まあ、その顔にはウソもなさそうだから信じてやるヨ。でも今日はベッドで大人しくしとくんだゾ」
「もちろんよ」
「……つーか、熱に浮かされてたってことは昨日のモ――」
「ダグ?」
「何でもねエ! あとで薬とリゾット持ってきてやっから、ちゃんと寝とけヨ」
「うん。……あ、ねえ、ダグ」
「なんだヨ」
「あなたが大好きなのは本当よ。……家族だもんね」
「はいはい、オレも大好きですヨ。じゃあナ」
「うん、おやすみ」

「……そうよね。あたしたち、『家族』なんだもんね。家族のことは、好きになっちゃいけないわよね――」

 
家族だもんねって話です
20210430