答えはどっちだ!(ユウキ)近親愛

「にしても、チイロもめちゃめちゃ料理上手くなったよな……」
 テーブルに並ぶ色とりどりの夕食を前に、お行儀よく手を合わせながらしみじみと呟く。ここ数日いただいてるごはんはすべてチイロ手ずからのもので、母のそれを彷彿とさせる味は、ホウエンに残した家族のことを思い出させた。
 ユウキの意図を理解したのだろう、チイロはどこかおかしそうに笑いながら、冷蔵庫から飲み物を運んでくる。
「さすがにいつまでもプクリン任せじゃいられないからねー」
「プクリンもポケモンとは思えないくらい上手かったけど……」
「本当にそう。……じつは、今でもたまに手伝ってもらったりしてるんだ。ねー」
「ぷゅ!」
 驚愕して目を剥くユウキと、ぺろりと舌を出すチイロ。隣に立つプクリンも同じような顔をしていた。
 その様子は彼をからかっているようにも見えて、なんてことない夕食のおりに、ひとつの謎が生み出された瞬間だった。

 
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『美味しい料理を前にして』です
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