全身全霊ポケモンバトル!(レッド)

「いっけー、あられ! 『ハイドロポンプ』!」
 ラプラスのするどい『ハイドロポンプ』が、カメックスの甲羅を掠る。すんでのところでかわしたそれは地面を大きく抉り、『あまごい』によって倍増している威力の程を視覚的にも知らしめてきた。
 ただ、この天気はレッドにとっても好都合なことだ。彼の手持ちにはみずタイプが二匹もいるので、雨によるアドバンテージはコエダよりも大きいと言える。
「……!」
 近頃、レッドとグリーンの二人で鍛えているせいか、コエダはめきめきとバトルの腕を上げている。まだまだ負けるつもりはないが、彼女の成長を実感するたびに、レッドの胸は高鳴るような叫び声をあげる。
 冷たい雨が、ひどく激しく肌を打つ。足元はぬかるんでいるし視界も悪いが、しかし、こんなものでひるむような、ヤワなポケモントレーナーのつもりはない。
 こんなにも心躍るバトルを中断するくらいなら、傘のひとつも必要ない!

 
あなたが×××で書く本日の140字SSのお題は『傘なんていらない』です
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