不格好な背伸び(コレイ)

「先生っ、今日は何を教えてくれるんだ……!?」
 朗らかに振る舞う声と共に、可愛らしい顔がひょっこりと覗く。新芽を思わせる髪がガンダルヴァー村の温風に揺れて、陽光を反射しながら輝いていた。
 いつものコレイなら宿題や勉強には少しばかり難色を示すのだが――もちろん意欲がないわけではない――時おりやけにやる気を出して、こうして俺の家までせがみに来ることがある。お気に入りのペンとノートを手に、太陽にも負けないような燦々とした姿を見せに来てくれるのだ。
「そうだな……今日はティナリもパルディスディアイまで出てるし、せっかくだからパトロールがてら、そこいらの薬草について復習するか」
「つまり――机のうえじゃなくて、外で勉強するってことか?」
「そういうこと。少し準備するから、コレイも用意を整えてくるといいよ」
「わかった!」
 俺の指示を受けたコレイは、ひらりと体を翻して家のほうへと戻っていく。元気良く駆けていく背中からも彼女の喜びが伝わってきて、俺は思わず顔が緩んでしまった。
 
 ――ちなみに、コレイの言う「勉強を教えてくれ」が彼女なりのアプローチのひとつであることを知ったのは、もう少し未来の話である。

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