まっすぐの、目(リンハルト/ディミトリ前提)近親愛

「紋章持ちの近親者が、子を成した場合の紋章の有無……とても興味深いね。まさかこの目で観測できる日が来るなんて」

 いつも眠たげにしている瞳をいやに爛々と煌めかせ、リンハルトは婚儀を済ませたばかりのディミトリとウィノナに目を向けた。
 かつて黒鷲の学級に所属していた彼であるが、士官学校の在学中にベレトの口利きで青獅子の学級へ編入し、以来ずっと、それこそ苦楽を共にするが如く同じ道を歩んでくれた。そこには彼がひどく嫌った、血なまぐさい戦場へと身を落とすことすらあったのに。
 けれど祖国を敵にまわしてもなお、弱音や不満を並べこそすれ決して逃げたりしなかった彼のことを、ウィノナは元級友という範囲内でそれなりに好ましく思っているけれど――

「あのね、リンハルト。そういうことは私たちのいないところで言ってもらえるかしら」

 良くも悪くも明け透けで真っ直ぐな彼の物言いには、在学中から変わらずずっと、頭を悩ませているのであった。