もう、終わり(アッシュ)
何も言わずに離れた私に、あの子は何を思うだろう。……考えるのはやめるべきか。この手を真っ赤に染めて、きっとこれから酷い目にあう、そんな私はあの子と一緒にいるべきではないのだから。あの子はもうこの太陽の下、明るい世界を歩んでいくべきで、私たち…
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ここが、泣き場所(メルセデス)※GL
「ウィノナ、こっちへいらっしゃい~」呼び声に誘われるまま手を伸ばし、今日も私は柔らかな感触と体温に包まれにいく。ぎゅう、と優しく抱きしめられてしまえば、私の涙腺は壊れたようにほろほろと涙をこぼした。メルセデス、と名前を呼んで、変わらず返って…
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彼岸の夢(ディミトリ)※近親愛
昼は勇猛に民を導き、怒りをおさめ、世を太平へ誘うというに。幼子のように震えた声で縋りついてくる大きな体、柔らかな金糸を優しく撫でる。なあに、どうしたの、大丈夫よ。宥めるように声をかければ、安堵したのか力が抜けた。「あねうえ」と力ない声が鼓膜…
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願いはあえなく焼け落ちる(アッシュ)
「ウィノナ、一曲どうですか?」「おや……ずいぶん洒落たお誘いですね。でもごめんなさい、私、歌はあまり得意じゃないですし、風琴の心得もなくて」「あはは、それは僕も同じです。じゃあこうしましょうよ、千年祭の同窓会の日に、こっそり誰かにお願いして…
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こっちを見ないで(クロード)
自分たちの関係を言葉にするなら、それは気が楽のひと言に尽きるだろう。もちろん最低限の配慮はしたうえでの話だが、例えば自分を偽ったり、淑女のように過ごしたりといった、肩肘はった振る舞いをせずに済むのは助かる。ただひとつ、終わりでもあり始まりに…
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冷たく沈む青の獅子(ディミトリ)※近親愛
あの日に取った冷たい右手は、いとも簡単に振り払われてしまった。立っていたはずの彼の隣は、きっと誰にも見えない亡者が蠢き続けているのだろう。それでも私はやめられない。彼を想い、慕うこと。その横顔に焦がれること。苦悩に沈む彼に対して出来ることな…
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彼女に見える向こう側(ディミトリ)※近親愛
俺は、彼女にいったい何を重ねているのだろう。死んでしまった先生か? あの憎らしい敵の顔か。わからない。彼女が何も言わず拒まないのを良いことに、俺は日夜彼女に対して無理を強いてしまっている。本当ならもっと真っ当に、優しく、たったひとりの女性と…
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あれは運命の分かれ道(ディミトリ)※近親愛
不思議な女だと思った。初めて青獅子の学級の教室に入ったとき、初めて彼女の隣に立ち、初めてその存在を知った。どこか陰りがあるような、けれど儚げと言うにはそぐわない、そんな彼女と、あの日に俺は出会ってしまった。目で追ってしまうのはなぜだろう。声…
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あなたがそこにいるだけで(ディミトリ)※近親愛
私は――私だけは、自分が何者なのかを知っている。なぜここにいるのかも、おのれがどれほどの愚か者なのかも。叶うわけもない恋に身をやつす馬鹿な女を、罵ってくれる人がいないことも。それでも私はここにいたい。ただここで、この士官学校で過ごすほんの少…
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