短編(アリサ)

好きだ!

 胸が苦しい、気がした。ほんの少し前まではただの友達だった彼女を、ただの仲間で、同僚で、かけがえのない、ナニカだった彼女を見るたびに、胸がぎゅうっと押しつぶされるような感覚に陥る。ふわりと風に揺れる豊かな銀髪も、意志の強い花色の瞳も、柔らか…

もだもだ・一二三直線

「おれ、あんまり恋愛とかよくわかんないんだけどさ」 出し抜けな言葉を受け、アリサは手放しかけていた意識を無理やり引き戻した。声の主は隣に座るだ。珍しくムツミが不在のカウンター席にて、食材が積まれた棚の向こうに何かを見ている。 欠伸をかみ殺し…