短編(セリス)

いつもそうして

 わたしのなかで再び頭をもたげはじめた、セリス様への恋心。 ひとたび目をさましたそれはみるみるうちに膨らんでいって、一度抑圧されたせいなのか、ともすると以前よりも大きく主張しているような気さえする。その怪物はいつもわたしの耳の隣に心臓を持っ…

天色の波

 ゆら、ゆら、ゆら。わたしは、まったくおぼつかない足取りで夜の城内を歩いていた。 眠れなかった、わけではない。単純に目が覚めてしまったのだ。近頃はどうにも睡眠が浅くて、ちょっとしたことでついつい目を覚ましてしまう。 そのまま寝返りばかり続け…