短編(希佐)

君の宝をいただいた

「なあ、立花」「はい?」「白田とか、忍成兄弟とか……ロードナイトの人間を見てると、自分たちの努力諸々が少し馬鹿らしく思えてくるよな」「あはは……それは本当に、先輩のおっしゃるとおりですね……」「ユニヴェールに入ってもう三年目になるけど、あい…

君は傷ついてくれるのか

「立花……ごめん。僕、やっぱりユニヴェールにはいられないみたいだ」 進級をすぐそこに控えた春の日、クォーツ寮の廊下にて。 ちょうど私室に至る道中ですれ違った立花に、僕はまっすぐとそう告げた。今日という日を楽しむためにだ。今までこういったイベ…

息吹と死滅

 ――高科更文は天才だが……お前はどうだ? 挑戦的な笑みを浮かべた校長先生の言葉が、今もこの胸に深く突き刺さっている。 高科更文は天才だ。それはこのクォーツにて、彼の後輩として過ごした一年間でいやというほど痛感させられた。彼は紛うことなき天…