短編(シャルロット)

合図

 こん、ここ、こん、こん。独特のリズムで叩かれた窓へ、反射的に飛びついた。薄いガラス板の向こうには見慣れた手袋が覗いていて、張りつめていた精神が一気に緩むのを感じる。「彼」が訪れてくれた安心感により、ついつい気が抜けてしまったのだろう――シ…

君のための宝物

「受け取れよ」 ぽん、とやさしく投げ渡されたそれを、両手で丁重に受け取った。 クラフト素材の紙袋はかさりとした小気味良い音を立て、シャルロットのちいさな手のひらのうえで誇らしげに胸を張っている。紙袋はリボンの形をしたモノクロのシールで可愛ら…