TIE
(――あ。このネクタイ、リネくんに似合うな) フォンテーヌの街角を歩いていると、様々なものが目に入る。美味しそうなスイーツ、可愛らしいアクセサリーに、興味深いマシナリー……そのどれもが私の目を引いて、ついつい足を止めてしまう。 そして、きら…
原神 文章 短編(リネ)
そこに私は、いないけど
「今年の『お父様』のお誕生日は、いったい何をしようかしら」 じっくりと、紅茶を片手に考え込むような素振りでリネットがつぶやく。その内容は他でもない、来月に迫った「お父様」のお誕生日をどんなふうにお祝いするか、という話だ。 どうやらこれは壁炉…
原神 文章 短編(リネ)
浮かれちゃってさ
「リネ、最近少し変わったわ」 穏やかなティータイムを裂くように、リネットがぽつりとつぶやいた。 彼女の唇から離れたカップがソーサーに座る際、普段ならばなかなか耳にしないような不格好な音を立てた。その具合は少しばかり乱れたような、彼女の心境を…
原神 文章 短編(リネ)
月明の逢瀬
それはありふれた夜のこと。誰にも悟られないように、リネは極力気配を消してゆっくりと館の中を歩く。 ただ足音を消して、人の視線をくぐりながら進むだけ――このような小細工などリネットにはお見通しなのだろうが、同じように彼女が厚意で見逃してくれ…
原神 文章 短編(リネ)