短編(ヨォーヨ)

隠し味は気遣い

「――もうっ、お兄さん! こんなところで寝てちゃダメだよ」 頭上から降りかかってきた声に目を開ける。刺すような日光に瞬きを繰り返しながら、人の形にくり抜かれたシルエットをじっと見つめていた――その影の主が眉をつり上がらせているのに気づいたの…

琉璃百合が揺れる

「ヨォーヨは……今、外してるのか?」 こつん、と軽い足音と共に現れた人影を一瞥するのはピンだった。見慣れた居姿に何を思ったのか、彼女は恭しい客人相手に鼻を鳴らして、珍しく無愛想に答える。「なんじゃ、わざとらしい言い方をしおって。わざわざあの…