夜明けのその先

泣きたいときには好きなだけ

 何か特別な言葉をかわしたわけではないが、先日一夜を共にしてからというもの、ディルックと同衾する機会はぐっと増えた。 もちろん夜毎ふれあうわけではなく、むしろただ寄り添いながら眠るだけの毎日だ。ディルックの匂いが染みついた柔らかなベッドに入…

花びらより落ちる影

※公式キャラの失恋描写があります ---  ――しばらくは色々と忙しくなるだろうし、落ち着くまでの間バイトは休んだほうがいい。花言葉へは執事に使いを頼むとしよう。 ディルックの言葉に甘えた結果与えられた休暇も、昨日で終わりを迎えてしまった。…

あなたをあなたと呼べるまで

 今日のアカツキワイナリーには予想外の来客があった。――否、彼は本来であれば「来客」ではなく、ただ久しぶりに「帰ってきた」だけだ。 モンドではあまり見ない褐色肌と、特徴的な眼帯。どこかエキゾチックな容姿をしたその人は、かつてディルックと共に…