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「やっぱりゼークス帝国はろくでもないところだわ!」
「今度は何だヨ……」
「だってダグにひどいことしたじゃない!」
「! ……いや、でもそれはオレも同じデ――」
「同じなわけないでしょう! バカ!」
「ちょっ……いきなりデカい声出すなよ、傷に響くだロ! ていうかバカとは何だ、バカとハ!」
「うるさいうるさい、ばーかばーか! ……でもほんと、ダグは何にも悪くないわよ。あいつらに騙されてただけで、その、家族まで亡くして」
「それハ……」
「だから、これからはあたしたちがあなたの家族になるから」
「ハ?」
「だーかーら、あたしとおばあさまが新しい家族になるわよって言ってるの。……まあ、一緒に住んでる時点で八割方家族みたいなものだけど」
「ブーケ……」
「そんな家族からのお願い。いくら償いのためだからって、自分を犠牲にするような真似はやめて。自分の体を第一に考えて、そのうえで贖罪に励むこと。あなたが死んだら罪滅ぼしどころじゃなくなるでしょ」
「…………まあ、一理ある、のかもナ」
「一理どころじゃないわ、五万理くらいあるわよ。さ、それじゃあ今日はもう寝ましょう」
「結局病院に泊まってくのかヨ……」

 
20210308